Herbert - See You On Monday

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  • エレクトロニックミュージックに対する嘲ったコンセプトの持ち主Matthew Herbertがハウスに主眼を置くシリーズ「Parts」を再開し、以前のハウス路線に復帰した。長いキャリアを誇るイギリス人アーティストとして、彼はサンプリングを基調とした実験的なアプローチを取り入れてきた。しかし、彼の評価が築かれたのは完ぺきとも言えるハウストラックを通じてのことだ。クラシックなトラックと新たなリミックスをセットにして再発するCurle RecordingsのサブレーベルPetiteは、Herbertによる卓越した4つ打ちトラックの再発に力を入れているようだ。例えば、2014年に同レーベルがリリースした"Kinda Kickin'"はもともと1999年にHerbertがDJ Boom名義でリリースしたものだ。そして今回発掘されたばかりの秘密兵器が1995年に「Part One」のBサイドへ収録されていた"See You On Monday"である。 トラックの幕を開けるのはノスタルジックなスポークンワードのサンプルだ。このスポークンワードは「ロンドンに飽きたものは人生に飽きた者だ」というSamuel Johnsonの有名な一節で締めくくられる。それに続き、11分間に渡る完ぺきに近いディープハウスがスタートする。このトラックでのHerbertによるパーカッションは個人的にPal Joeyを思わせる。打ち込みが革新的であるわけではないのだが、各タムやハット、スネアが全体的なミックスの中へ完ぺきに収まっている。リズム以外に使われている素材は少なく、4音からなる猛々しいベースラインと悲し気なコード、そして、2種類のドリーミーなパッドだけだ。このトラックが発表されたキャリア初期においてでさえ、Herbertは極めてミニマルなアプローチによって黙々と踊れるトラックを生み出していたことが分かる。 Linkwoodはオリジナルバージョンを信じられないほど素晴らしくリミックスし、傑作アルバム『Expressions』(英語サイト)でみせた移り気な魅力を90年代のニュージャージー感覚と融合している。どっしりとしたキックとスウィングするハイハットの回りに原曲のベースラインをつんのめるように配置したアレンジは、Dreamer G "I Got That Feelin"のようなKerri Chandler関連のクラシックになぞらえたものだ。Linkwoodは原曲のリードパートを自らレコーディングし、もともと曲がりくねっていた高音を、深くコーラスさせたストリングシンセへ変化させている。ボーカルも同様、原曲のイントロを切り刻み、言葉にならない女性の息遣いを加えている。主にパーカッシブな素材がそっけなく抜き差しされることで、徐々に感情の高まるトラックにさらなる深みが生まれている。
  • Tracklist
      A See You On Monday B See You On Monday (Linkwood Remix)
RA