Herbert - Part 7

  • Share
  • 先月の「Part 6」と同じように、Mattew Herbertの新作EPでの面白みの無いタイトルと、表現方法におけるハイレベルな革新性は、反比例の関係にある。収録曲4つのうち、一番に飛び込んでくる"Bumps"は、反復の真価を見せつけている。HejiraのボーカリストRahelによる甘い声を今回も再びフィーチャーし、一聴するとエンドレスに反復しているように聞こえる単純化されたメロディと、ハリのある打楽器、そして震える重低音ベースに乗ってトラックは展開していく。 時計仕掛けのテクノ"Sucker"は、Herbertが00年代の変わり目にリリースした『One』三部作での殺伐として角張ったサウンドと感覚的にさらに近いものがある。一方で、"Pretty Daddy"も同じくらい断固としてブレが無い。このトラックでは、アコーディオンのシルバーを掴み取り、ループさせて鼓動するサイレンへと変化させている。そこへ並行するリスのような声と、激しく揺れるリズムが着実に騒ぎを大きくしている。しかし、単体のみでも価値があるのは、"Get Strong"だ。トライバルなリズムや、ピチカート奏法によるストリングス、そして不規則なサウンドから構築されるこのテクノは、不協に響き渡る全く異なる要素を見事に組み合わせ、1つにしっかりとつながり合った中毒性のあるダンス・フロア・トラックを生み出している。
  • Tracklist
      A1 Bumps A2 Sucker B1 Get Strong B2 Pretty Daddy
RA