Spotseek Feat. Sex Tags Mania

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  • 多くの実力派DJを輩出してきた千葉の街で、現在ディープなサウンドの中核を担っているのはsoundbar muiをおいて他ならないだろう。そしてmuiを拠点とする看板パーティーのひとつがWada Yosuke、Kawashima、Mori、tTyによるSpotseekである。これまでには国内ローカルの手練DJ・ライブアクトを中心に招致し、夏前にはSex Tags周辺とも縁が深いアーティストLuca Lozanoを迎えた実績もある。しかし中でも今回はDJ Fett Burger、DJ Sotofett兄弟に加え、地元・千葉の重鎮DJ Nobuを迎えた特別な回となった。 オープンアクトを務めたtTyは、アーバンなハウスからアシッドまで聴かせるダウンテンポセットでじっくりと期待を煽っていく。続くDJ NobuはBPMを引き継ぎつつ、フロアに熱気をもたらすニューウェイヴ的なトラックからトランシーな楽曲までプレイ。普段のDJとはまた違ったスタイルながら、この時点で箱のキャパを超える勢いの人々を魅了し、それに応えるダイナミックなシーケンスのトラックでバトンを渡した。 Fett Burger、Sotofett兄弟はB2Bで、レイヴィーな流れから無骨なハウスへと展開し、足を止める間もないような怒涛のセットを繰り出していく。Fett Burgerがユニークなトラックでアクセントをつけ、Sotofettが流れを汲みつつ踊れるグルーヴへと戻していく。ラフで生々しいピッチフェーダーやミキサー捌きを間近で見られるのも、小箱ならではのだいご味だ。後半はフュージョンを思わせる色気のあるトラックからエモーショナルなディープハウスへと着地した。この日は二週間に渡るハードなツアーの折り返し地点といったところだが、疲れを見せることなく終始DJを楽しむような姿が印象的であった。 続いては大阪Mole Musicの主Mitsukiが、メロウさに溺れるようなBlazeをプレイし流れを受け継ぐ。その後もつい耳を奪われるようなベースラインとヴォーカルによる濃厚な選曲を披露し、その後は急遽ツアーへ同行していたS.J.Tequiraが参加してのUS・UKハウスの応酬へと移行。ラストに繰り広げられたMori、tTy、Wada Yosukeによるハウス~ディスコまで横断するセットが終わる頃には、開場から半日近い時間が経過していた。 muiの潔さすら感じられる漆黒のフロアは、規模に合った居心地の良いサウンドシステムも相まって時を忘れてのめり込む一夜にぴったりの空間だ。特にピーク時は箱全体の熱量が凄まじく、実際にmuiの歴史の中でもトップクラスの来場者数を記録したという。各地で成功を収めたというFett Burger、Sotofett兄弟によるジャパンツアーだが、どこかSex Tagsのサウンドと千葉の街には通底するムードが感じられ、その親和性が濃密な体験につながったように思える。ある種の必然性すら感じられる組み合わせが実現したパーティーであった。
RA