- 数学と音
- AkkordがSynkro & Indigoによる別名儀プロジェクトであることが判明したが、彼らの音楽を今まで聴いてきた人なら納得がいくことだろう。ソロ作であれコラボ作であれ、Joe McBrideとLiam Blackburnの2人はここ5年ほど、様々なカラーの知的なベースミュージックを世に送り出してきた。同じく、Akkordという名前も複雑に組まれたリズムとヘヴィなベースで知られるようになっていた。そもそもの始まりは、去年Akkord名義で彼らが限定枚数のアナログをリリースした時だ(Andrew Ryceによる「AKKORD001」のレビューはこちら)。その後、「Navigate」という4曲入りのEPをロンドンのfabric主宰の野心的なレーベル、Houndstoothから発売した。この作品のタイトルトラックがAkkordの特徴が最も解りやすい曲だろう。ひんやりとしたムードが漂いながらも魅惑的な同曲は、そのクレバーなドラムプログラミングで、テクノとベースミュージック、そしてIDMの丁度中間に位置する曲になっている。
AkkordのファーストアルバムがHoundstoothからリリース予定だが、それまでは2人のスリリングなクラブミュージックのビジョンが詰まった1時間近い今回のRA.372を堪能いただこう。
まずは近況報告をお願いします
ファーストアルバムの曲を仕上げていた。
制作環境について教えてください
AbletonといくつかのMIDIコントローラーを使ってリアルタイムで録音したんだ。
ミックスのコンセプトについて教えてください
俺たちのサウンドに影響を与えた曲や、友人知人の最近の曲なんかを混ぜてみた。
あなた達は当初集団でしたが、現在メンバーは2人のみですね。どういった経緯があってこうなったのですか?
もともとAkkordとして活動しているメンバーは2人だけだが、曲によっては2人以上の人々が制作に関わっている。リリース作品にはプロダクションクレジットは記載してこなかったが、アルバムでは記載される予定だし、今後ライブ用にメンバーが編成されるだろう。
Akkordに関する短いプロフィールには、数学と幾何学に関する深い関心が挙げられていますが、これはどういうことですか?
どんなミュージシャンも音楽ファンも数学や幾何学に興味があるんだ。本人が気づいていなくてもね。全ての音楽に数学が関わっているが、これを意識する人は少ない。例えば、自然界の至る所に黄金比が隠れているけれど、エレクトロニック・ミュージック界で最もサンプリングされてきたドラムブレイク、Amenブレイク(The Winstonsの曲”Amen Brother”より)も数学的に表せば黄金比になっているんだ。
リズムの構成に数学はとても深く関わりがあって、俺たちにとって最も重要なのはそこだ。シンプルな曲でありながら、複雑なリズムを構築することによって、少ない音数でもできることは多い。 自然界や音の周波数に隠れている幾何学的なパターンが、音楽だけじゃなくありとあらゆるものの重要な役割を果たしていることをもっと広く認知されるようになって欲しいと考えているんだ。
今後の予定は?
ライブセットの準備と、作曲の続きさ。