Gerry Read - We Are

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  • Gary Readのほとばしるクリエイティビティはここ数ヶ月立て続けにリリースしているFourth Waveからの3枚目のEPでもまったくとどまるところを知らない。せわしなく、多くのアイデアをとっかえひっかえ実践する様子はまるで堪え性のない子供のような印象を持つかもしれない。実際、"We Are"などのトラックは明らかに重心が低く、12時間のハウス・パーティをわずか5分39秒に凝縮してみせたような感覚すら窺わせる。 最初はカラカラとしたパーカッションや木槌のようなサウンド、線の細いハイハットが無造作に散らばっていてとらえどころの無い印象だが、暖かくスウィープするシンセが入ってくるとリズムがにわかに生き生きとしはじめ、ぎこちなくも魅力的なトラックに変貌するのだ。ほとんど判読できないほどまで切り刻まれたヴォーカルサンプルも、ささくれ立った不穏な雰囲気を引き立てるのに一役買っている。"Narry"はよりストレートで、埃っぽくデトロイトの地下を思わせる7分間のトラック。崩れたハウス的なヴァイブ、といったところか。Readならではのクレイジーなアレンジメントや加工されまくったサウンドはこのEP全編で一貫している。それが意図的なものなのか偶然なのかはさておき、その結果は非常に印象的なものであることはまちがいない。
RA