Gerry Read - Roomland

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  • Gerry Readはまだ自分の基盤を固めている段階なのだろう。19歳のGerryは、クリアなダブステップやざらついたトーンのハウス、そしてウォームなダブなどを過去に生み出してきているが、2nd Dropからの新作では音数を減らしたざらついたガラージのアプローチを取ろうとしており、音と音の間には隙間が存在している。その隙間にはテープノイズや空電音が織り込まれており、また柔らかな木製の印象を持つリズムの周囲に無数の割れ目やくぼみがリズミカルに点在する。タイトで複雑に組まれたサウンドはまるで爆発寸前のような抑圧された雰囲気を醸し出しているが、そのまま爆発することなくテンションがキープされていく。その代わり中間部から蛍のようにぼんやりと入り込んでくるシンセのコードワークにより、トラックの持つエネルギーがゆっくりと解放されていく。このコードワークがセピア色に覆われたトラックに必要な色彩をほのかに加えている。 B面は若手Youandewanのリミックスが収録されているが、オリジナルとは殆ど共通点がないと言っていいだろう。ビートやパーカッションはいくらか丸みを帯びているが効果的に打ち込まれており、そのリズムを暗い水中に深く沈んでいるようなトーンが覆っている。全体にシャッフルが利いていて、かつ時間をかけてゆっくりと変化していくトラックにはシンセが追加されており、グルーブは様々な表情を見せていく。『Traiangulation』でのScubaをスピードアップさせたようなサウンドを持つこのトラックが、このリリースにおけるメイントラックとして扱われることになるだろう。
RA