Conforce - Dystopian Elements EP

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  • Conforceのレコードはいつも非常に高い水準のサウンド技術の見本のようなものだが、その成功の秘訣はBunnik自身が空間にサウンドを詰め込み過ぎないよう細心の注意を払っているからこそだろう。この「The Dystopian Elements EP 」はしかし、そうしたConforceらしい丹念に練り上げたサウンドを巧妙かつ慎重に配置するのみに留まらない魅力を秘めている。しかも、ここに収録された4トラックはそれぞれ異なるアイデアと手法に基づいて作られているようだ。A面の"Luminous"や"Lonely Run"といったトラックは筋金入りのタフなテクノ・トラックで、どちらも良い意味で地味だ。とはいえドラムのクリスピーな鳴りは格別で、そのビーツと重量感と粘り気のあるベースラインは付かず離れずの関係で突き進む。 "Lonely Run"での重くバウンシーなグルーヴはPeter Van Hoesenを彷彿とさせる。比較的スローなテンポもうまくはまっていて、ゆったりとしたビートの隙間にオルガンの音色がうねっている。"Desolate Ground"では、早いビートがかならずしもヘヴィーなヴァイブを創るわけではないことを見事に証明していて、ありきたりなグルーヴに着地することを巧みに避けながらブレイクダウンし、そして燃え尽きる。Conforceのビーツは湿り気を帯びたメロディに溶け込んでいるかのようだ。このEPにはまさに正統派のテクノというべきリアルな瞬間がまちがいなく詰まっており、"Vacuum"はまさにそういうトラックだ。しかもそれはこれ見よがしなやり方ではなく、非常に控えめに表現しているところがConforceらしい。こうした繊細さに対してこそ彼のファンはより夢中になるだろうし、おそらくはその魅力に気付く新しいフォロアーも増えていくことだろう。
  • Tracklist
      A1 Luminous A2 Desolate Ground B1 Lonely Run B2 Vacuum
RA