Afrikan Sciences - Means and Ways

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  • Flying Lotusの『Los Angeles』のリリース以降、カリフォルニアのレフトフィールドな集団DeepblakのヘッドAybeeは、近年西海岸で見られるビートのハイブリット化、そしてジャンルの多様化についてどう思うか意見を求められた。それの回答として彼は、カリフォルニアの長い歴史について言及した。「自分の周りで一体何が起きているかという事を意識するための、壁を必要とする人達がいる」と彼は言う。「Flying Lotusや、 Afrikan Sciences, Xaphryn Follicleといった連中の音から見えたり感じるものは、授業中に学校の先生が話をしている時、窓の外を見ている子供達の映像だと思うんだ。多くの人が、そもそも何故、窓の外を見るのかっていうことを理解しようとしているっていうことだ。」 Eric Porter Douglassの別名儀、African Scienceのデビューアルバムでもある『Means and Ways』が、なぜ4月のリリースで周囲の注目を得なかったのか。それは不思議なことではない。Flying Lotusの自由さとは、手短に言ってしまえば、それはヒップホップだ。Douglassのリズムに対する執着心は凄まじい。しかしそれは奇異さを残しながらも移り変わり、持続性と即効性が互いに対立せず存在している。彼の音楽には、ウェストロンドンのブロークンビート、東海岸の90年代ハウス、40年代ジャズ、アフリカ先住民、そしてラテンリズムといった要素が含まれている。それらは彼の手によってミックスされていると同時にクロスビートし、彼独特のリズムへと変えられ予想もしないような形へと変化していく。 アフロビートをベースに出来上がった“Spirals”は、ワイルドなメロディーとローラーコースターのように駆け巡るビブラフォン、そして次々仕掛けが登場するビックリハウスの鏡のようだ。"Call Back"は、アフロとフューチャーリズムを掛け合わせ、不慣れな土地で 原始的なビートと機会的なドラム音が奇妙に混ざり合う中、その背景ではお化けのような瞑想家が囁いているかのようなイメージだ。荒々しいビートから始まる "Entitlement"は、まるで規律という状況から切り抜けたいかのようにノイズが響き渡り、曲に混乱をもたらしている。 Douglassは根底をひっくり返したようなジャズのアレンジを行う名人と言える。"A Tonk"ではコンボのような楽器が登場する一方、"Go Speed"はUKリズムにのったビーボップ風のジャムだ。このアルバムを何度も聴くうちに、欠くことのできないコアの部分に気付く。それはDouglassの達人的とも言えるような、気分の上がるエレクトロニック・ベースギターだ。アルバム全体を通して動き回るベースサウンドは、時としてマントが揺らめく音のようにおぼろげで、また時として大きな雨粒の音のように変化する。 "Alpha Male Syndrum"では宇宙の銀河へと飛び立ち、 "Two as 36”では、揺らめくキーとかけ声、カラカラの木がぶつかり合うような音が結合している。 デビューアルバム『Means and Ways』は、非現実的で声を上げずにはいられないような作品だったが、今年の夏には待望のヴァイナルもリリース予定だ。ユーモアたっぷりなこの 一分間におよぶビデオ(大作映画の予告篇のような出だしと、ハンディーカメラで録られた彼の姿が映し出されるビデオ)は証言している。Afrikan Sciencesの地下実験室に外を覗くような窓はないかもしれないが、彼の目の中にあるものは信じてみてもいいようだと。
  • Tracklist
      01. Spirals 02. A Tonk 03. Two As 36 04. Call Back 05. Alpha Male Syndrum 06. Ejercicios 07. Entitlement 08. Go Speed 09. Wreck Create 10. NanRock SKANK 11. Ways and Means
RA