Subsonic Music Festival 2017

  • Share
  • Subsonic Music Festival2日目の午前9時を少し過ぎた頃、Four Tet “Planets”のソフトなトーンが、ガランとしたフェスティバルの会場中に響き渡った。5,000人の参加者のほとんどがフロア付近に張ったテントでまだ寝ている一方で、早起きした人たちはブリトーやコーヒー、グリルドチーズサンドイッチなどの屋台に列をなしていた。前日は21時間鳴り続けた音楽が、そこからまた30時間続く。この週末、合計5つのステージには、ハウスとミニマル(Fred P、Daniel Bell)からダブステップ(Goth-Trad)、そしてテクノ(Ryan Elliott)まで、幅広いサウンドがラインナップされていた。筆者が前述のFour Tetのトラックを聴いた時点で、まだフェスティバルは始まったばかりだったのだ。 2009年以来毎年開催されているSubsonicに筆者が参加したのは今回で3回目だった。前回参加した2010年当時は、今よりもお客さんが少なく、国外のゲストDJも数えるほどしかいない、まだまだ小さなイベントだった。今ではプロフェッショナル・イベントの基準を全てクリアしたメジャーなフェスティバルへと成長し、今年は初めてチケットがソールドアウトした。ステージが1つ増えたこと以外、前年からの大きな変化はないが、ハウス/テクノファンにとって、Subsonicは依然としてシドニーの北におけるベスト・フェスティバルである。少ない変化の中で最も目立っていたのは、多くの参加者がBurning Manスタイルのコスチュームにかなり力を入れていた点だ。しかし、デコレーションからフード、ドリンクのオプションに至るまで、すべての変化はポジティブなものだった。
    フェスティバルにおけるベストスポットは変わらず、水辺の木々の下に陣取るこじんまりとしたRiver Stageだ。そこへ辿り着く為の近道となっている下り坂が、より一層僻地に来たという感覚を与えてくれる。筆者はこのステージで、金曜の午後から夜までの10時間ほどを過ごし、その晩のインターナショナルアクト(Fred PとAndrew WeatherallとSean JohnstonによるA Love From Outer Spac)と、2組のローカルDJ、KaliとBen Festerを聴いた。彼らは両サイドにFunktion-One が備え付けられた小さな木製のステージの上で、変わったディスコやハウス、より明るいトラックなどを織り交ぜながらプレイ(日が沈む直前にはKozeの”XTC”がかかっていた)。夜が更けていく頃、大きめのステージの1つParadisoでは、Francesco Del GardaがスペーシーなテクノやUKガラージなどのアップテンポなセットをプレイしていた。 土曜の夕方以降はよりタフなサウンドとなり、ParadisoにはMaayan NidamやGoth-Tradが、そして24時間オープンしている小さなステージPizza Labには数組のローカル・テックハウスDJたち(Mantra Collective、Kerry Wallace、Gabby)が登壇。ビッグネームもまだまだ残っており、日曜の夜にはRyan ElliottやPearson Soundがプレイ予定だったが、残念ながら筆者はシドニーに戻らなければならなかった。7年振りの参加となったが、Subsonicは今も筆者のフェイバリットフェスティバルであると、ふた晩だけでも十分思い出すことができた。
    Photo credit / Francesco Vicenzi - Entrance Barbara Fischer - Crowd James Gillot - Welcome Ceremony, River
RA