Force Of Nature in Los Angeles

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  • 土曜夜のロサンゼルスで、ある工業地帯のある路地を進んでいくと、ここ最近DJ GarthやOmar-Sなどを招聘しているアフターアワーズ・パーティー、Midnight Loversに遭遇できるかもしれない。その最新回で、同パーティーはKZAとDJ Kentの2人からなる日本人DJ/プロダクションデュオ、Force Of Natureのロングセットをラインナップした。 ゲストの2人が到着するまでに落ち着いたハウスチューンの数々でフロアを温めていたのは、ワシントンD.C.拠点のDJ Navbox。セット全体を通して、彼はディープでムーディーなコードを中心としながら、リズムは控えめにキープしていた。会場がやや小さめなことも手伝って、筆者が到着した時点でダンスフロアは既に良い形に仕上がっており、遅い時間まで混み合っていた。 午前2時頃にNavboxが最後の1曲をミックスし始めた時、沸き上がる拍手の中、サングラスをかけたKZAとDJ Kentの2人がブースに登場。デュオは1曲目を選ぶのに、Navboxのトラックが終わるギリギリまで時間をかけていた。短いシンセサイザーのインタールードが、突如ダブワイズ・リズムに変わった。テレビ番組『全米警察24時コップス』のテーマソングでもある、Inner Circleによる"Bad Boys"だった。Force Of Natureは、一瞬にしてその力を見せつけた。 DJセットの中でユーモアのセンスを表現するのは必ずしも容易なことではないが、デュオの砕けた姿勢によって、そのレフトフィールドなオープニングは素晴らしいものになり、クラウドの注意を集め、何か面白いことが起こりそうだという期待を抱かせた。彼らのセットはその後すぐにアップテンポなディスコ・ハウスのグルーヴや、ドシンとしたエレクトロ・ベースラインへと変わり、結果としてさきほどのイントロが最も大胆な瞬間であった。KZAとDJ Kentのミックスは、いつ曲が変わったのか分からないことがほとんどだったが、そうではない時ー例えばドラムフィルの断片をカットしながらAril Brikhaの"Eat the Heart"に繋いだ時などは、フロアの興奮がピークに達した。 個人的には、平均的なLAのアフターアワーズよりも、この日のように小規模なスペースの方が音が良いように感じた。だからこそ、夜の深い時間に、rRoxymoreの"DR-1"や、Oni Ayhun、Aquarian Jugs、Jaguar Woman、そしてJakam "Wabi Sabi"のMoscomanリミックスといった、よりワイルドな選曲ができたのだろう。 明らかにForce Of Nature目当ての客ももちろんいたが、この日はその他の同様のパーティーと比較すると若干年齢層が高く、アンダーグラウンドシーンにも馴染みがなさそうなクラウドが多かったように感じる。EDMについての議論が耳に入ってくる場面が何度かあったり、ウェアハウス式の設備に戸惑う、Kim Kardashianが好きそうな女性客さえ何人か見かけた。とは言っても、熱狂的なファンも初めて来た客も、皆音楽にドップリ浸っていたようだ。だが、慣れないクラウドがこれほど多くなければ、DJたちはもっと挑戦的な選曲をしていたのではないか、と思ってしまったのもまた事実だ。
RA