Ambiq with Ricardo Villalobos in Berlin

  • Published
    Jun 13, 2017
  • Words
    Philip Kearney
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  • ベルリンで今年一暖かかったこの日、夜のFunkhausはまるでフェスティバルのような雰囲気と化していた。レンガ造りのこの巨大な建物はもともと東ドイツ時代に国営ラジオ局として使われていた場所で、控えめな高尚さを醸し出している。いったん中へ入ると、エレガントな天井の高い部屋やスタジオが網目のように広がっている。 木曜日のこの日、エレクトロ・アコースティック・トリオAmbiq (モジュラーシンセの達人Max Loderbauer、ジャズ・クラリネット奏者のClaudio Puntin、パーカッショニストのSamuel Rohrerから成る)とRicardo Villalobosによるレアなライブジャムを一目見ようと、Funkhausへ人が押し寄せた。メインイベントの前後には、Romuald Karmakar監督によるエレクトロニックミュージックのドキュメンタリー作品『Denk Ich An Deutschland In Der Nacht』の上映、ポストロック・ギタリストMartyn Heyneの演奏、Margaret Dygasによるセットが繰り広げられた(MargaretはアフターパーティでもDJをした)。 ヘッドラインのカルテットがステージに上がった。パープルのスポットライトを浴び、半円形上に立ち並ぶ機材や楽器の元へそれぞれが着席する。すると大歓声が沸き起こり、Villalobosが冗談交じりに指を口元に当て”静かに”のジェスチャーをした。そこから彼らは約2時間に及ぶジャムセッションを繰り広げた。大部分はある一定の繰り返されるフォーマットに従ったもので、せわしく鳴り響く音がわずかなアンビエンスの一節へと分解され、そこではモジュラーシンセサイザーのブリップ音がもっとも効果を成していた。 彼らはまれにしかアイコンタクトを取らず、皆それぞれ自分の演奏に没頭している。その代わり音楽が次どこへ向かっているかの判断は直感によるもので、それゆえ、初めの方はフリーフォームによる不協和が生まれたりサウンドが混乱したりと、複雑になってしまう瞬間が見受けられた(すぐに改善されていたが)。しかしその後は、ジャズやノイズのパッチの間を、またある時はラフなハウステンポの確たるグルーヴを流れるように行き来していた。 セッションがごく自然な終結へと向かうなか、Rohrerがドラムスティックを降ろすとクラウドは大きな歓声を上げた。一方のVillalobosは彼と違って、終わりにすることを認めず演奏する最後のひとりとなり、みんなへ再び演奏を再開するように促した。それから約30分にわたり、まるでとても遠くにある橋の先を目指すような演奏が続いた。観客からアンコールが起こるまで、横たわって目を閉じ、リズムに揺れるクラウドがいるなどリラックスした雰囲気に包まれていた。しかし、徐々に会場に落ち着かない雰囲気が漂いはじめると、Loderbauerが遠慮がちな笑みを浮かべ、終幕へとまとめ上げた。4人は腕を組み合い、礼をした。会場内は最後、拍手喝采に包まれた。
RA