Mnml Ssgs Party

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  • 保守主義だとか想像力に欠けていると捉える人もいるかもしれないが、年齢と経験を重ねたアーティストをメインにフィーチャーするというクラブプロモーターたちの判断は、至極当然であり現実的なことだ。しかし、結果としてイベントに活気がなくありきたりな内容になってしまった場合、そうした考えは問題になる。先日開催されたMNML SSGSのパーティーは、東京のシーンにとっての良いカンフル剤となった。ニューカマーたちに活躍の場を与えることにフォーカスしたこの日のラインナップは、今回がContact初登場のアーティストを数多く迎えた。 そのニューカマーのうちの1人である、東京拠点のDJ Lynneは、2016年Rob Booth主宰のElectronic Explorationsシリーズに素晴らしいミックスを提供した。彼女の安定したウォームアップセットに続いて登場したのはSapphire Slows。Not Not Funなどから作品をリリースする彼女は、これまでにも同ヴェニューに度々出演しているが、今回は目の前のオーディエンスに向けて、自身が過去2年間でアーティストとしてどれだけ成熟したのかを証明してみせた。彼女の音楽は、今も尚センシティブで五感に訴える際立った個性を保っている。しかしここ最近は、郊外のアパートや薄い壁の部屋よりも大きなダンスフロアの似合うダイナミクスを持ったプロダクションにシフトチェンジしている。彼女が大きな変化を遂げただけではなく、更なる進化の可能性を感じさせるようなパフォーマンスであった。 この日の海外からのゲストは、Aurora HalalとAntenesというニューヨーク拠点の2人。ピークタイムに登壇したHalalは、デリケートなアンビエントと直感的でトランシーなテクノの間をゆるやかに行き来するヒプノティックなセットを披露した。それはクラブ環境の中でも十分に魅力的に聴こえたが、Labyrinthのような広い屋外スペースにも完ぺきにマッチしそうだった。2015年にアナログテクノサウンドでL.I.E.S.から鮮烈のデビューを果たし、現在注目を集めているAntenesは、周囲を巻き込むほどのエネルギーと容赦ない衝動に満ちたDJセットで夜を締めくくった。Neil LandstrummやFabrice Ligなどのビッグルーム・エレクトロやアシッド・ブレイクダウンで、皆が拳を突き上げるような瞬間もあった。 一方のラウンジフロアは、ローカルタレント勢で固められた。ラウンジとは通常、客達がバーの周辺に固まり、音楽に被せて会話を楽しむことの多いスペースだが、この日は音量も大きく、いつもとは全く違う空間となっていた。早い時間帯には、Yuki Moriyamaがアブストラクトなエレクトロニクスで注目を集めた。続いてアイドルグループBiSの元メンバーであるテンテンコが、徹底的なノイズセットで自身の音楽キャリアの転換を証明。そしてAya Gloomyは、カラフルなヴォーカルパフォーマンスを披露した。主催者のディテールへのこだわりはメインルームでも見ることができ、それぞれのアクトがプレイするステージの位置に応じて、2つある入り口のドアは片方ずつ閉じられていた。会場の至る所でミュージシャンたちに対するリスペクトが感じられ、彼女たちはそれに応えるようなパフォーマンスをしてくれた。
RA