Printworks opening in London

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  • 俗に言う“ロンドンのクラブシーンの終焉”に対し、あなたがどんな考えを持っていようが、2017年に入ってからこの街が活気を取り戻したことについては否定できないだろう。今からほんの3ヶ月前は、fabricが営業停止処分を受け、ナイト・メイヤー(正確にはナイト・ツァー)は存在しておらず、話題の新ヴェニューPrintworksの情報は秘密裏にされていた。 そして現在、人々はようやくクラブシーンの現状について嘆くことを止め、ナイトアウトの未来を見据えた、より細かい議論を再開した。 かつてヨーロッパ最大規模の印刷工場として使用されていたキャパシティ5000人のスペース、その名もPrintworksは、数ある議論の中の話題の1つだった。同プロジェクトはロンドンの街にとって恰好のタイミングで進められてきた。巨大で、インダストリアルな雰囲気を持ち、防音対策も完ぺきなヴェニューの誕生を歓迎しないクラブシーンなど、どの世界を見ても存在しないだろう。我々の多くは、一生のうちに一度は大きなレイブを体験するはずだ(SónarやTime Warp、ベルリンのKraftwerkなどを思い浮かべてみてほしい)。しかし、オリジナルの個性(と、大きな機械装置)が多く残された場所は、数少ない。(Printworksの建物の詳細やその歴史については、対談シリーズThe Hourの最新エディションをチェック。) 筆者が到着した頃、Printworksは既に超満員となっていた。(この日はキャパシティを2500人に限定しており、チケットは完売していた。)だだっ広いエントランスでは、人々がドリンクやタバコ休憩の後、ハグやハイタッチを交わす光景がそこかしこで見られた。上階は更に賑やかなヴァイブスで、さながらフェスティバルのピークタイムのよう。ほとんどのクラウドは、クロアチアのフェスティバルDimensionsのThe Moatステージに似たサイズ感と雰囲気を持った縦長のフロア、Room 1に集まっていた。彼らは踊りながら、自分たちの上に張り巡らされた鉄骨の梁を見上げ、蜘蛛のように動きあらゆる方向にカラフルなビームを撒き散らす照明装置に釘付けになっていた。 ダンスフロアの端にある2〜3メートルほどの高さの台に立っていたのが、Seth Troxler、The Martinez Brothers、そしてLoco Diceの3組。彼らは午後3時から午後10時まで7時間に及ぶB2Bという、音楽そのものよりも、スペクタル、そしてこの特別な出来事を重視したようなセットに挑んだ。それでも、ステージ上での彼らの相性は抜群で(Chris MartinezよりもにこやかなDJがいたら是非教えてほしい)、クラウドにもそれが伝わり、ブレークから再びキックの音が鳴る度に大きな歓声が沸き起こった。すぐ隣にあるRoom 2はメロウなムードに包まれ、2〜300人程のクラウドが、Krankbrotherが織り成すテックハウスで踊っていた。彼らのプレイ中、VOIDの技術者がフロアを歩き回りサウンドをチェックしていた。サウンドは最高だった。 この日筆者が気が付いた問題はほぼゼロ。それは、Printworksのダンスミュージックプログラムを監修するLondon Warehouse Eventsのプロ意識の証と言える。何もかもが分かりやすく案内表示されており、トークン(ドリンクチケット)システムは完ぺき。会場を出る時も入る時もノンストレスだ。しかし1つだけ気になることがあったーそれはRoom 1の音だ。前方では大きくクリアに聴こえるものの、後方に行くほどボリュームが下がっていた。せっかく防音対策がしっかりしているのだから、この点は改善すべきだろう。土曜日の終盤の様子を収めたこの映像のような華々しいダンスフロアの瞬間が、今後いくつも生まれていくのだろう。誰もが同じように体験すべき、素晴らしい瞬間が。 Photo credit / Danny North
RA