Horse Meat Disco and Mike Servito at Output

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  • 日曜の夜にクラブを満員にするのは容易なことではないが、Horse Meat Discoにとってはそれが得意分野である。10年以上に渡り、このDJ4人組による「全ての人たちに向けたクイアパーティー」は、彼らのホームである南ロンドンのバーEagle Londonを週末最後のディスコの安息所へと変え、世界各地に彼らのファンや模倣者が生まれた。また、HMDはブルックリンのOutputでも時折レジデントを務めており、このキング牧師記念日の週末にも同クラブで彼らのパーティーが開催された。メインルームでは、HMDのLuke HowardとJames HillardにJustin Straussがジョインした一方、Panther RoomにはMike ServitoのウォームアップアクトとしてJustin Cudmoreが出演した(あまり大々的に知らされていなかったことだが、Servitoは自身のFacebookページに、同パーティーの売上の一部をBlack Lives Matter運動に寄付すると投稿していた)。 1月の凍えるような天候にも関わらず、前売りチケット購入者とゲストリストの列は、いずれも午前1時の時点で大混雑だった。一旦室内に入ると、外の肌を刺すような寒さは、数百人の踊る身体から放たれる熱気へと変わった。筆者がクロークに並んでいる時に、Giorgio Moroderの"I Wanna Rock You"がメインルームから聴こえてきた為、既にHMDがフロアをコントロールしているのだろうと予想できた。 大盛り上がりで蒸し暑いダンスフロアに足を踏み入れると、やはりHowardことFilthy Luka、そしてHillardの2人がブースに立っていた。この2人は他のHMDのメンバーよりも歌モノを好み、彼らのディスコ黄金期への敬意が、その温かなヴォーカルソングの数々にも表れている。クラウドは、HMDの「同性愛者と異性愛者、クラブキッズ、クマちゃん、ファッショニスタ」というチェックリストを大体カバーしていたが、踊っているのは上半身裸で、幸せそうに汗をかいた男性がほとんどだった。皆DJの方向ではなく、お互いを見つめながら踊っていた。 1時間程ディスコを聴いた筆者は、もう少しジャッキンな音を欲した。その時Panther Roomでは、Mike Servitoがバンピンなベースラインを巧みにミックスしていた。Panther Roomのサイズ感はエレクトリックな雰囲気を手助けすることもあるが、ひっきりなしに人が出入りすることもある。この日曜の夜は、その両方が少しずつ感じられた。Servitoの素晴らしさの証拠として、筆者は自分がゴミ箱の横のごく狭いスペースで踊っているのを忘れかけていたほどだ。ディープ、タフ、新旧様々なハウスを織り交ぜたセットだったが、中でも個人的なハイライトは、The System "You're In My System"のKerri Chandlerによるヴォーカルリミックスと、MD X-Spressの"God Made Me Phunky"、そしてChandlerの"Bar A Thym"が矢継ぎ早にミックスされた瞬間だった。 興奮に満ちた夜の雰囲気は、午前3時を過ぎるといくぶん落ち着いたが、メインルームでは依然としてHowardとHillardが勢いを保っており、"Flawless (Go To The City)"やWham!'の"Club Tropicana"で、昨年末に死去したGeorge Michaelに敬意を表していた。その後Panther Roomへと戻ったところ、客数こそ減っていたもののServitoのセットは最後までエネルギーをキープしており、彼がシーンで最も尊敬されるDJの1人である理由を物語っていた。 同じ規模の他の多くのヴェニューがそうであるように、Outputには、ダンスフロアではどのように礼儀正しく過ごすべきなのかを分かっていない客も少なくない。HMDは、パーティーとは何たるかを熟知したゲイのクラウドを多く呼び寄せ、そんな同クラブの雰囲気を普段とは全く違うものに変えていた。DJ全員がそれぞれの強みを生かし、音楽的なサプライズや派手な瞬間に頼っているわけではなかった。事実、そこはごくシンプルな空間だった ー 寒さから逃れ、肌を露出し、そしてダンスする。
RA