dgoHn - All The Fuckin' As

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  • 10年以上前にParadoxによって名付けられたドラム&ベースのサブジャンル"ドラムファンク"はブレイクコアと親戚のような関係にあたる。どちらも黄金期のジャングルからインスピレーションを受け、その論理を激化させて新しくワイルドな音楽の在り方を創造した。しかし、ブレイクコアがジャングルに仮初めのパンク性を見い出したとするならば、ドラムファンクはジャングルをジャズとして捉えているといえる。ParadoxやFanuといったベテラン勢は冷ややかで知性に訴えるタイプのドラム&ベースを広めている。そこでは細心の注意を払って断裁されたブレイクビーツが小刻みなソロ演奏を絶え間なく行っているかのようだ。ドラムファンクというスタイルは決して廃れてはおらず、dgoHnによる今回の新作12インチは、彼がまだアーメンブレイクに対する興味を失っていないことを示唆している(dgoHnは2010年にRephlexから発表したLP『Some Shit Saaink』をMaccと共同制作している)。 "All The Funckin' As"はこのスタイルの好例だ。その雰囲気は離散的で抑制されており、十二分に残された空間に配されるブレイクビーツは、時速320キロのパラディドルにもかかわらず、その高い明瞭さを一切失っていない。2分30秒を過ぎると、近寄るものを焼き尽くすがごとくトラックが煌々と燃え上がる。"Untitled Pigdog"でのアーメンの洪水はさらに前のめりで、その背後からは対照的にドリーミーなコードが聞こえてくる。それにより、クラブ後のゾーンアウトした感覚とパーカッションの熱狂性を奇妙に混ぜ合わすドラムファンクの特質が強調されている。そして、Love Love RecordsのレギュラーアーティストScraseによるリミックスでは、原曲がグリッチーなブレイクコアに変化している。まるでリミックス2曲分の要素が決死の戦いに巻き込まれているようなサウンドだ。このようなトラックの場合、ジャングルの忙しないエネルギーはしっかりと統制されている方がいいようだ。
  • Tracklist
      A1 All the Fuckin' As B1 Untitled Pig Dog B2 All the Fuckin' As (Scrase Remix)
RA