- MagdaとT.B. Arthurが新たに結成したBlotter Trax。つまり、ハードでキケンなアシッドトラックを制作するプロデューサーがミニマリストと組んだコラボレーションということになる。プロジェクトと同名のデビュー作は予想通りの結果となっており、T.B. Arthurの過去作品に比べて荒々しくなく、これまでのMagdaよりもスレンダーさが少ない。何よりBlotter TraxはT.B. Arthurのリズムスタイルを再調整しているような印象だ。しかし、B2のトラックで使われているキーを外したメロディは、Magdaが単に制作パートナーのワイルドな一面を抑えただけではないことを物語っている。303によるフレーズはぬかるむ雰囲気の中をうねりながら、時折、自然を超越した何かを思わせる。
A1の背景から聞こえてくる遠吠えやビヨビヨとした音はもちろんふたりによるものだ。このトラックでは非常に深くリバーブがかけられており、要所でクラップやハットを駆使してリズムを展開している。このアプローチの勢いがいくぶん失われているのがA2で、薄く未完成のように感じられる。Blotter Traxを聞くとTin Manを想起するが、彼のアシッドトラックはもっと太いサウンドだ。Tin Manのトラックでキャッチーなメロディが中央に据えられると、十分強力なものになる。B2のMagdaとT.B. Arthurは面白いメロディフレーズを奏でているが、途中でそれを止めてビート上で取り留めなく音を鳴らし始める。「Blotter Trax」ではふたりのアイデアによる相乗効果というよりも妥協しあったもののように感じられる場面がある。しかし、彼らのEPを他にも聞いてみたいと思わせる要素も十分に含まれている。
TracklistA1 Untitled
B1 Untitled
B2 Untitled