Various - Jeremy Underground Presents Beauty

  • Share
  • Jeremy Undergroundが最初に注目を集めたのは『My Love Is Underground』でのことだ。彼が2010年に発足したヴァイナル限定レーベルにより、90年代の影響を取り入れたスピリチュアルなハウスの人気が再燃することになった。さらに彼はハウスマニアとしての評判も築いており、特にKerri Chandler作品のBサイドに収録されたトラックや、アメリカの無名なレコードレーベルにかけては辞書並みの知識を有している。その一方で、幅広い音楽を好む一面も持ち合わせる彼のYouTubeチャンネルでは、世界中から集めた無名のジャズ、ソウル、ディスコをシェアしている他、ホームリスニング用の素晴らしいミックスも発表している。2013年にPlastic Peopleでプレイしたときの彼はFloating PointsやRed Gregと並んで、謎のレアグルーヴによる素晴らしいセットを披露した。そのとき筆者は、「Jeremyは優れたハウスDJだけれどソウル/ファンクをかけるときの彼はさらに素晴らしい」と痛感させられた。 『Beauty』はJeremyにとって初となるダウンテンポのコンピレーションだ。こうしたリリースを監修する彼の資質は、この10年を代表するコンピレーション・シリーズ『Originals』(英語サイト)を発表しているClaremont 56に相応しい。『Beauty』はそのClaremont 56のサブレーベルSpacetalkの第2弾にあたるリリースだ。SpacetalkはPsychemagikのDanny McLewinによって運営されている。Jeremyが彼と出会ったのは、Block 9(英語サイト)の運営するスタッフ・バーMaceo'sでソウル/ファンク・セットを終えた後だった。そのセットにDannyが感動したところからふたりの関係がスタートし、ほどなくして、コンピレーション制作の話が具体化したのだった。 『Beauty』にフィーチャーされているのはJeremyがこれまでに発見してきたレコードから厳選したものだ。収録曲の多くはいい意味で分類するのが難しい。例えば、Sonya Spenceの"Let Love Flow On"は、普段はスカ/レゲエ・バンドで演奏しているジャマイカのミュージシャンをフィーチャーしたソウルチューンとなっている他、フォーク風なソウル/ジャズの雰囲気が漂うStarcrost "Quicksand"や、ボサノヴァをルーツにしたLeila Pinheiroによるディスコ、そして、Christer Nordenのファンキーなライブラリー・ミュージックも収録されている。本作で注目を集めるのはおそらく"Hardly Need To Say"だ。この強烈なスモーキー・ソウルは、ニュージャージーのグラスボロ発の小さなレーベルではなくビッグレーベルからリリースされていれば大ヒットになっていただろう。 再発文化がかつてない盛り上がりを見せていることは間違いない。BBE、Music From Memory、Numero Groupといったレーベルが無限にも思えるヴァイナルの金脈を発掘している。しかし、数多くのレーベルが入り混じるマーケットにおいても『Beauty』は突出した存在感を放っている。伸びやかな雰囲気ときらめくミュージシャンシップによって本作は終始一貫して喜ばしい音楽を提供している。Jeremyが2014年に発表したハウス・コンピレーション『My Love Is Underground』のレビューで筆者は「オールド・スクールのハウスをアナログ盤でプレイしたいと思っているなら、本作は絶対手に入れるべきだ」と書いた。この論理に今回も従うとしよう。「ソウルやジャズのレコードが好きなら、『Beauty』は絶対に手に入れるべきだ」。
  • Tracklist
      01. Ron Rinaldi - Mexican Summer 02. Leila Pinheiro - Tudo Em Cima 03. Christer Norden - Lay Back 04. N C C U - Superstar 05. Shades Of Love - Do Your Own Dance 06. Sonya Spence - Let Love Flow On 07. Nu-Cleus - Needing A Woman 08. Al (Alonzo) Wilson - Love You Girl 09. Richardi Mac - Told You So 10. Maureen Bailey - Takin' My Time With You 11. Fein - Stonedage 12. June Evans - Hardly Need To Say 13. Starcrost - Quicksand 14. Creative Arts Ensemble - Unity
RA