Aged In Harmony - You're A Melody

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  • 2015年はFloating Pointsにとって決定的な年になった。アルバム『Elaenia』が数多くの年末チャートにランクインしたことで、彼はエレクトロニックミュージックとダンスミュージックの領域を超えて活動する注目アーティストとして地位を確立した。しかし、Sam Shepherd(Floating Points)の影響力が実際に高まったのは2016年になってからで、彼のジャズフュージョン・ライブ公演が売り切れている他、再発盤の付随テキストには彼のおすすめコメントが掲載されるようになっている。Plastic PeopleのラストパーティーでShepherdが最後にプレイしたレコードである、Spirit Of Loveによる78年のゴスペルディスコ"The Power Of Your Love"は、今年になって再発されると(英語サイト)何週間もPhonicaのチャートにランクインしていた。今回、ShepherdのレーベルMelodiesから再発されるのはソウルディスコの希少盤だが、それだけにとどまらず、プリントされたインナースリーヴと特別仕様のジャケット、そして、ファンジンがセットになった3枚組7インチとして発表されている。 デトロイトのAged In Harmonyは70年代末に7インチを3枚だけ自主プレスし、その後、消え去ってしまったプロジェクトだ。現在、78年のシングル"You're A Melody"の価格は約500ドルとなっている。しかし、Shepherdがこのトラックに夢中になったのは希少だからではなく、"You're A Melody"が彼の移動型パーティーの名前でもあるからだ。最近の小規模なレーベルの屋台骨を形成しているのはレアなソウルやファンクだが、そうしたレーベルがリリースするタイトルで最重要視されているのは希少性とオンライン上の投機性であることばかりで、楽曲そのものはレコードが発掘された地下室と同様に古臭く聞こえることがある。 しかし、Aged In Harmonyの作品は当時のアフリカ系アメリカ人の数あるトレンドを見事に捉えた名盤だ。密のように甘いハーモニーと強烈なコード進行が、ファンクとディスコをまたぐ執拗なグルーヴによって運ばれていく。"I Feel Like Dancin"で旋回するハイハットや柔らかく浮き立つストリングス、"Trust Me"でのゆったりとしたうねりや滑らかで不気味なメロディ、そして、魂の深い懇願など、ポップ志向の要素があらゆる面で感じられる。このストリングスの旋風やきらめくメロディ、そして、非の打ち所のないビートは普遍的で今でもハッとさせられる。
  • Tracklist
      MEL002 A1 You're A Melody B1 You're A Melody (Extended Disco) MEL003 A1 I Feel Like Dancin' B1 Theme For Someone Special MEL004 A1 Trust Me B1 Dance Awhile
RA