Baaz - Untitled

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  • この数年間、BaazことBatian Volkerは自身のレーベルOffice Recordingsを通じて微細に変化していく音楽を探求してきた。同レーベルの作品の多くはドイツ人プロデューサーである彼が手掛けたものであり、最初の2作品「What About Talk About #1」と「#2」によって、"細部まで作り込んだディープで物憂げなサウンド"というレーベルの方向性が決定づけられた。クラシックなハウスに根付いた自身の作品と並んで、Iron Curtis、Christopher Rau、そして、とりわけ興味深いアーティストであるTrux(英語サイト)らの作品もリリースされている。Volkerが最後に発表したレコード(英語サイト)から2年、Officeの8枚目となる作品を彼が担当した。エレガントでメロウなトラック4曲を収録した「OFFICE08」では、いつになく精度の高い彼のサウンドが披露されている。 アンビエントとDJフレンドリーなハウスを柔らかくブレンドした本作は、Volkerの作品の中で最もエモーショナルなものだとすぐに分かるはずだ。"You (Can't)"は深みのあるメランコリアを携えた簡素なビートレス・トラックとなっており、はるか昔に聞いたような彼方の声や美しいピアノコードで満たされている。他のトラックにも同様のムードが漂っているものの、しっかりとダンスフロアで機能する内容となっている。細やかなシェイカーと滴のようなパーカッションによる上手く抑制された世界が広がる"Kraut House"は、ダビーなグルーヴ上をゆったりと行き交うトラックだ。一方の"Modual"はさらにフロア仕様となっており、きらめくシンセと柔らかくふわふわとしたコードが躍動するビートで中和されている。ラストトラック"Simple E"では、落ち着いた空間に柔らかく降り注ぐキーボードとチャイムによって、雪の降る静かな朝の光景が喚起される。特段、変わったところは何もないのだが、それこそが本作のポイントなのだろう。いずれの収録曲も親しみと心地よさを感じさせるのだから。
  • Tracklist
      A1 Kraut House A2 You (Can't) B1 Modual B2 Simple E
RA