Tobias. - Helium Sessions

  • Share
  • Tobias Freundはベルリンで最も万能な電子音楽アーティストかもしれない。彼は2006年の"Street Knowledge"(英語サイト)のような不朽のクラブトラックを制作する一方で、Max Loderbauerとのプロジェクトnsi.のファーストアルバム『Non Standard Institute Plays Non Standards』のように極めて緻密なアンビエントサウンドを生み出している。どちらの彼も等しく揺るぎなさを感じさせるが、彼の最も刺激的な音楽はその中間に存在する。それはつまり、テクノのエネルギーと雰囲気に溢れていながら、機能性に捕らわれないサウンドだ。彼はOstgut Tonから発表している複数のアルバムで、型に縛られない楽曲とストレートなクラブトラックのバランスを取ってきた。そのバランスは「Helium Sessions」においても整然と保たれている。 グルーヴは収録曲ごとに異なっていて特徴的だ。BPMは80から175までと幅があるが、どのトラックも細かく泡立つような旋回の動きを思わせる。"LAGEOS 1"では、嵐に巻き込まれたがれきのように、パーカッションが吹き荒れるドローン上を重々しくパニングしながら漂っている。続くトラック3曲でも同じく突風の吹く空間へと異なるリズムが送り込まれている。ドラムパターンが荒々しく点滅する"Nucleon"、無重力の鼓動が刻まれる"Helios"、そして、本作唯一の直線的なバックビートと共にBPM84でゆっくり坦々と展開する"Spectrum V"だ。意図したかどうかは分からないが、本作では標準的なクラブトラックが収録されていないことがポイントになっているように思う。今回の収録曲のように非標準的な作品は必ずしもクラブ系レコードのB2に追いやられなくてもいいのだ。そうした楽曲も単独で十分に魅力を発揮するからだ。
  • Tracklist
      A1 LAGEOS 1 A2 Nucleon B1 Helios B2 Spectrum V
RA