Renato - Alo Alo

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  • 昔の大きなコードレス電話をくわえるラブラドール犬の写真が使われたレコードカバーから何を推測することができるだろうか(ちなみに、Googleの画像検索から収穫したばかりであるかのように、コピーライト保護のウォーターマークがそのまま使われている)。くだらない内容だと思うだろうか? リスボンのプロデューサーRenatoのファーストEPに収められた奇妙なビートはそれにあたらない。制作者がそれほど真面目に取り組んでいないと思うだろうか? 本作の3曲にフィーチャーされているのはおかしな音だけではない。少なくともレコードカバーから推測できるのは、アイデアを完成形にまでもっていくアーティスト/レーベル(新しく発足したPadre Himalaya)が発表した作品であるいうことだ。 その理由は犬と電話が「Alo Alo」で実際にフィーチャーされているからだ。1曲目の表題曲の途中で、大げさに「There's a call for you on line(君に電話がきてるよ)」というアメリカなまりの声を犬の鳴き声が遮っている。そこに至るまでの展開がはっきりしておらず、でこぼこのハウスビートはかなり控えめで、しわくちゃにしたレイヴコードや、アスファルト上でタイヤが金切る音を通じて、トラックはすぐに別の場所にゆったりと逸れていく。他の収録曲も同じく奇妙だ。意識しておどけているわけではないが、不真面目であることは確かだ。"O Marceneiro"は隙間を大きくとった不安定なビートツールで、低音質のYouTube映像から取ってきたような考えられたベルの音が時おり挿入される。なぜか後半になると取って付けたようにリバーヴが全体にかけられる。"Ze Do Telhado"では、轟く4つ打ちに一見関連のないフルートのブレイクが挟まれる。ドラムサウンドはバンギンであるべきなのだが、どこか外れており、手足を違う場所に縫い合わされたフランケンシュタインの怪物がおかしく歩いているかのようなテクノサウンドとなっている。とはいえ実際はそれほど酷くはなく、かなり楽しく仕上がっている。
  • Tracklist
      A1 Alo Alo B1 Marceneiro B2 Ze Do Telhado
RA