Floorplan - Music / Tell You No Lie

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  • Robert Hoodは活動初期に複数の名義を使いまわしていた。Dr Kevorkian、Inner Sanctum、The Visionなどと名乗っていた彼だが、主に使われてきた名義は彼の本名とFloorplanだ。微細なモジュレーションを展開したMonoboxの「Realm」や、サンプルネタを基調にしたテクノを打ち出したInner Sanctumの「Unseen」といった、彼のカタログの片隅に並ぶような作品は、Robert HoodとFloorplanという大きな枠組みの一部として捉えられてきた。Hoodがこうした名義間の統合性を日食に例えて語ったとき(英語サイト)、そこで示されたのは新しく循環するプロセスだった。『Internal Empire』と同様、『Omega』(英語サイト)以降のアルバムも、徐々に要素を加えていくことでHoodのミニマリズムを刷新するものだ。Dekmantelから予定されているアルバムでは、彼は以前のように骨格だけのループを使って制作することになっている。 ゴスペルの合唱が特徴的なテクノトラック"We Magnify His Name"(英語サイト)以降、Floorplanは似たようなプロセスを取り入れてきた。現在ではHoodの娘であるLyricがそのプロセスに加わっている。最新12インチのBサイドに収録された"Tell You No Lie"では、2011年の"We Magnify His Name"で見せたスピリチュアルなエネルギーが跳ねるストリングスと弧を描くボーカルのハーモニーと共に復活しているが、Brainstormの"Lovin' Is Really My Game"のサンプルネタには、従来のFloorplan的な神々しさは無い。これまでの彼と比較したとき、"Tell You No Lie"は"We Magnify His Name"よりもじっとりとしており、"Never Grow Old"よりもシリアスさに欠けるが、それでもこのトラックは非常に楽しいトラックとして突出している。 "Music"ではハウスとテクノに対するHoodの姿勢が溶け合っていることが特に分かる。DJセットでハウスとテクノをつなぐ移行用トラックとでも言える"Music"には非常にスピード感があり、シンセサイレンが蒸気を残して消え去っているかのように思える。Hoodによる典型的な傑作ツールトラックであり、鼓動するコードとゴスペルの語りはFloorplanの"Glory B"に類似している。このようなアレンジをするときは通常、骨格だけを短く掻い摘むだけに終わるものだが、Hoodは自身の長所を融合させることで、非常に独特な現在のキャリアに新しい視点を見出している。
  • Tracklist
      A Music B Tell You No Lie
RA