- ご存知かと思うが、トラックは制作されると、まずはプロデューサーのDJ友達や関係者にシェアされる。Hot Creations、Innervisionsのメンバーから、Hessle Audio、Perlon、[a:rpia:r]周辺のアーティストまで、ダンスミュージック界のいたるところで行われていることだ。そして、数か月、もしくは数年が経ったころに、そのトラックが正式にリリースされることになる。しかし、何が実際にリリースされることになるのかを導く方程式は存在しない。ミニマルのダンスミュージックシーンでは、話題になっている未発表トラックでもリリースされないことがあれば、パーティーでプレイされてから数か月しか経っていないのに店頭に並ぶトラックもある。
Arapuによるトラックを3曲収録したEP「Hazard」の"So Doo"は、幸い、そんな中でも比較的早めに発表されたキラートラックのひとつだ。昨年、ルーマニアのトップクラスのDJたちが同トラックを頻繁にかけており、Peter InspirescuがSunwaves 17でプレイしたり、その数か月後にはRhadooがクロアチアのフェスティバルSonusでオープニングトラックとしてプレイしたりしている。Inspirescuや彼の友人がプレイしているアブストラクトな未発表曲は他にもある中で、このトラックが突出している理由はなぜか。それはすぐに分かる。歯切れがよく、嬉しくなるほど機能的で、散りばめられたキャッチーなメロディを基本とした明るくスペーシーな音楽性を伴っているからだ。本作には同トラックと一緒に"Hazard"と"No More Space"も収録されている。どちらも重心低めで同様にグルーヴィーだが、よりダークなトラックとなっている。しかし、"So Doo"のようなトラックをプレイするDJであれば、使い勝手のいいトラックになるだろう。
TracklistA1 Hazard
B1 So Doo
B2 No More Space