Various - When I Was 14

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  • трип(トリップ)を通じて、Nina KravizはA&Rとしての類稀な才覚を証明している。新旧を問わず、シリアスな楽曲が収められた同レーベルの2枚組パッケージは、一貫した方向性を示すものだ。Bjarkiの"I Wanna Go Bang"のような奇妙なヒット作をリリースしてはいるものの、Kravizが関心を示しているのは使いやすく機能的なテクノを制作することではなく、自身のビジョンを見出すことだ。(ハリウッド俳優を作品に絡めるというコンセプト(英語サイト)をとりとめなく語る彼女に、それ以外の関心事があるだろうか?)レーベルの最新作「When I Was 14」は、この突拍子もない考えをさらに一歩進めている。本作では、Kravizの手腕が最大限に発揮されていると言えるかもしれない。昨年、SoundCloudに突如投稿されたのAFXのトラックが初めて収録されているからだ。"P String"は奇妙なトラックだ。ストリングスはいびつで不協和に鳴り響き、キックはBPM140上で轟いている。続くKravizも同じく速いテンポと、メロドラマのような雰囲気を探求している。多くのダンスフロアでは、この2曲は押しの強いトラックだと感じられるかもしれないが、その一方で、意識を惹きつける特異なEPを実現することに貢献している。 BjarkiやBarcode Populationはそれぞれ無慈悲で荒々しいテクノトラックを提供している。前者の"Naked Naked"には徐々に激しさを増していく独特のプログレ的なエッジがあり、後者の"Temple Ball"は20年前のトラック(90年代に活動したTemple Ballのトラックはこれまでにтрипの3作品へ登場している)だが、他のトラックと同等以上の内容だ。残りのトラックには張り詰めた不安定なムードが漂っている。Bjarkiが提供したもうひとつのトラック"Baepolar"ではブレイクビーツと彼方から迫りくるリースベースラインの脅威によって本作の1曲目を飾っている。もうひとりのアイスランド人であるBiogenが生前に遺したアーカイヴから探り当てたトラックでは、旋回するフラクタル状のビートパターンが生成される。ロシアの二人組PTUによる"Taorak"は、緊張感のある角ばった骨格ビートが整然と並ぶUKガラージだ。 ひと際、突出しているのがKraviz自身のトラック"Don't Mind Wrong Keys"だ。ディストーションの中で走らせて荒くしたVolcaのドラムサウンドによって、全体に疾走感が生まれているが、タイトルが示すように平然とキーボード上を漂うシンセコードにより、雰囲気は軽やかに仕上げられている。セットに組み込むことは可能かと問われれば、おそらく無理だろうが、それもトラックの魅力の一部となっている。
  • Tracklist
      A1 Bjarki - Baepolar A2 Nina Kraviz - Don’t Mind Wrong Keys B1 AFX - P String C1 Bjarki - Naked Naked C2 Barcode Population - Temple Ball D1 Biogen - Untitled D2 PTU - Taorak
RA