Steven Porter - Superbad

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  • Katsunori SawaとYuji KondoによるプロジェクトSteven Porterにとって初めてのフルリリース「Superbad」においても、ふたりのサウンドは極めてダークだ。SNTSによる同名のレーベルから発表された4曲入りの本作は、日本人アーティストふたりが近年制作しているソロ作品とそれほど離れた内容ではないが、それでもよしと思えるのは、テクノシーンには彼らの洗練された強度に匹敵する人が少ないからだ。 収録の4曲に重々しく根源的な雰囲気が漂っているのは、ふたりの力強いブロークンビーツによるところが大きい。しかし、SawaとKondoの音楽を独特なものにしているのは、神経崩壊しそうな精細かつ鋭い空間テクスチャーのレイヤーで自身の音楽を満たす手法だ。それはスペシャリストによるサウンドであり、彼らほど意欲的ではないリスナーにとっては往々にして神経をすり減らすものだ。 "Dwell In Hell"では乾いたドローンと嘆くような正体不明の声によって喧噪が巻き起こる。速度を増し、より引き締まった"Foresight To Ignite"では、2分を過ぎるころになるとトラックは影を潜めるような印象になるが、インダストリアルで機械的な粉砕音がさらに強烈になって戻ってくる。「Superbad」のBサイドではフィードバック処理した締め付けるようなギターが加えられている。かなり暴走していると思えるかもしれないが、"Ignorance Reigns"の荒れ狂うピークでは全音符による不協和なサウンドの展開がメロディ的な要素になっている。一方、"Wild Pitch"におけるノイズ全開の攻勢はカットアップした語り声の挿入に合わせて少しだけ落ち着きを見せる。本作は意識を崩壊させるかのように激しく攻め立ててくる作品だ。
  • Tracklist
      A1 Dwell In Hell A2 Foresight To Ignite B1 Ignorance Reigns B2 Wild Pitch
RA