Galaxian & DJ Stingray - NU-1000

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  • Galaxianはグラスゴーのエレクトロ・プロデューサーで、頻繁に戦闘機パイロットのヘルメットを着用している。DJ Stingrayとの新コラボレーション「NU-1000」のサウンドを聞くと、それが賢明な判断だということが分かる。速いテンポのアレンジにより、トラックはフランジャーの渦へと絶え間なく潜り込んでいくからだ。まるでワープゾーンの入口を超高速でバレルロールしているかのようだ。ときおり、タイムストレッチによって引き延ばされた渦の中にミキシングが閉じ込められたかと思うと、T-1000のように瞬時にして元通りに戻る。Last Known Trajectoryから発表されたGalaxianの12インチは彼をエキサイティングなプロデューサーとして示していたが、気付かれずに見過ごされている多くのエレクトロ・アーティストの作品と同様、彼の作品もほとんどがデジタル配信のコンピレーションかCDRのみで発表されている。だからといって「NU-1000」を見逃すことはできない。 ふたりには驚くほど類似点がある。Galaxianの"Storm Coming"はStingrayの『F.T.N.W.O.』に収録されていた"No Knock"に似ており、ピッチを落とした声、弾け散るディレイ、吐き気をもよおすほどのフランジャーといった要素はどれもStingrayの特徴だ。しかし、それが彼の派生物であるような印象は決してない。そこから累積していく衝撃は身体に直接訴えるもので、オリジナリティに関して疑問を抱く余地などない。ふたりが一緒に制作に携わったトラックは、ソロ作品でも聞くことのできるアプローチだが、今回の仕上がりを超えるものはなかなかない。トラックには過激な要素が溢れるほど詰め込まれているが、ごちゃごちゃに混み合っているというよりも、高精度に狙いが定められた明瞭なサウンドとなっており、人知を超える処理能力で変化する素材が使われている。 ラストの"Totally Controlled"ではこれまでの勢いが弱まっているが、哀調を帯びたコードとボコーダーのイントネーションが瞑想的なムードを生み出しており、他と引けを取らない魅力を放っている。StingrayとGalaxianには彼らのサウンドが持つ多様な側面を今後も探求してもらいたいところだ。今回のコラボレーションにはそう思わせる強力な何かがある。
  • Tracklist
      A1 Galaxian - Storm Coming Producer A2 DJ Stingray & Galaxian - NU-1000 A3 DJ Stingray & Galaxian - Graphene B1 DJ Stingray - Dopant B2 DJ Stingray & Galaxian - CaCuSi4O10 B3 DJ Stingray & Galaxian - Totally Controlled
RA