Yoshihiro Arikawa - Noborito Weir

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  • 2013年にオーストラリアのアデレードで始動したレーベルNightime Dramaはこれまでにシカゴハウスやデトロイトテクノ、そして、ベルリンミニマルのエッセンスを落とし込んだ作品をひとつのスタイルに捕らわれることなく発表してきた。猥雑性を程よくミニマルにしてシンセを絡ませたその音楽はYoshihiro Arikawaが自身のレーベルKodaira Tracksからリリースしていた初期作品にも共通している。彼は主にd’Kawa名義のもと、クリックミニマル発信地のひとつだったケルンのサウンドやダーティーなシカゴハウスに影響を受けたトラックをリリースしてきた。DJ DeeonとTodd SinesがリミキサーとしてKodaira Tracksの作品に名を連ねていることは彼のそうした音楽性を象徴している。近年では本名名義のもと少し粗めの感覚をビートに残しながらダブワイズされたアレンジが施されるようになっていたが、さらにそのスタイルを推し進めた今回の「Noborito Weir」では、よりタイトな音像によって洗練された印象が感じられる。 重低域の唸りに乗って引き締まったビートがダビーなスタブとパッドの起伏に絡み合う表題曲では浮遊感と躍動感を同時に味わうことができる。フィルターの開閉とエコーによって耳に残る残響が漂う中、クリスピーなドラム素材が小刻みに打ち込まれることで様々な質感を同時に提供している。続く”Night-Bird”でも同じアプローチが取られており、序盤に限っては2000年前後のミニマルテクノを彷彿させるものの、その後は複数のパッドとダブコードが重ね合わされていき、弦を爪弾いているようなシンセリフによって異なる雰囲気が生み出される。どっしりとしたグルーヴをしているのでメロウになり過ぎることなく情感を醸し出している。ベテランプロデューサーAuberyは”oo8oo8”をリミックス。Maurizio ”M5”のベースとBasic Channel ”Phllips Trak II”のダブコードを彷彿とさせる素材にジャッキンなビートとシンセフレーズを組み合わせ、クールな雰囲気が漂うオリジナル2曲とは対照的なトラックに仕上がっている。
  • Tracklist
      A1 Noborito Weir A2 NightBird B1 oo8oo8 (Aubrey Remix)
RA