- 誰がHOSTOMを手掛けているのか分からないが、やり手の人物であることは間違いない。フランス発の同レーベルがリリースを開始したのは昨年からだが、綿密に計画されたプロモーションが以前から展開されていた。随分前から1枚目の発売日が告知され、レーベルのFacebookページには発表前のトラックをプレイする大物DJの映像が頻繁に投稿された。そして極めつけにディープハウスを扱う人気YoutubeチャンネルのCMYKが1枚目の収録曲を丸々アップするに至った。そうしたプロモーションによってHOSTOMは新興レーベルが夢見るようなバズを生み出したのだ。
しかし、その音楽がバズに見合っているかは疑問だ。これまでに発表されてきたHOSTOMの作品は無駄がなく機能的で、ミニマルなハウスミュージックをプレイするDJの多くがレコードバッグに入れていそうな麗らかなトラックだった。しかし、明るいシンセスタブやパッド、シンプルなブレイク、そして、安定したビートによるサウンドはあからさま過ぎると言えるものだった。「HOSTOM 003」の2曲はまさにその典型だ。シャッフルするパーカッションとアフターアワーズ仕様の雰囲気により扱いやすいトラックとなっている。本作をプレイしているトップDJの数からもダンスフロアでの機能性に疑問の余地はほとんどないことが分かる。「HOSTOM 003」を聞いているとTommy Vicari Jnrが最近発表した同じく麗らかな人気トラック"BBBB"を思い出す。ただ、Vicari Jnrの方がこのようなデイパーティー・ハウスサウンドを上手く、そして、面白く表現している。HOSTOMには新しいアイデアを盛り込む余地がありそうだ。そうしないとひとつのことしかできないレーベルになってしまう恐れがある。
TracklistA Untitled
B Untitled