Conforce - North To South Part 1

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  • Boris BunnikはConforce名義で発表する作品を通じて多様な変化を見せてきた。ファーストEP「Out Concern」にはデトロイトテクノに影響を受けた比較的ストレートなトラックが収録されていたが、次第に彼は少ない要素にじわじわとサウンドプロセッシングを施した、4つ打ちに限定されないビートフォームに取り組むようになった。その過程の中で生まれた代表的な作品として、完全にデジタル音源のみで組み上げた『Kinetic Image』や、とりわけ要素を削ぎ落した『Presentism』が挙げられる。一方、メロディではなくサウンドそのものから発露する響きを駆使することで、当初から彼の作品には一貫したムードが保たれている。音数を減らしたことで生まれる空間で存在感を放つ野太い低域と、長時間に渡って姿を変容していくパッドの組み合わせがConforceのトレードマークだ。今年最初のリリースとなる「North To South Part 1」にはシンセを多用したダビーな4つ打ちトラックが収録されているが、これは初期の路線に立ち返っているというより、常に変化することを意識しているという彼がこれまでの制作で培ってきた経験をもとに、この数年とは異なる視点を打ち出したものだ。 ”Dark Days”ではモジュレーションをかけたファンキーなシンセリフがグルーヴの軸になっている。リズムパートは抜き差しされるだけのシンプルな構成だが、シンセリフがときに大きく波打ちながら滑らかに変化することで最後まで程よく緊張感が保たれている。緩やかに揺らぐ冷ややかなパッド、大きく間隔を取ったシンセベース、セッションしているかのようなドラムマシンといったConforceのエッセンスが凝縮された” Synchronized”や”Betray The Opponent”も彼のファンには堪らないトラックだろう。走り過ぎず、タメのあるどっしりとしたグルーヴを備えた両トラックにはDJセットの様々な場面で手を伸ばしたくなる。”Eclipse”も同じアプローチで構成されているが、こちらはリズムパートが前面に押し出された印象だ。しなやかなに浮遊しながら反復するパッドが適度な陶酔感を演出している。
  • Tracklist
      A1 Dark Days A2 Synchronized B1 Betray The Opponent B2 Eclipse
RA