Moodymann and Erykah Badu in San Francisco

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  • Moodymann、Benji B、Kingdom、J.Rocc、Krystal Klear、Ge-ology、多数のローカルアーティスト、そしてDJ Lo-Down Loretta Brown、いや、Erykah Baduと言った方が馴染み深いだろうか。それは完ぺきなラインナップであると同時に、全く訳の分からないラインナップでもあった。全員がヘッドライナー級のアクトである彼らは、それぞれハウス、ヒップホップ、ソウル、R&B、そしてディスコという、オーバーラップしながらも全く別の分野からやってきた。そんな彼らが一堂に会するのだから、クレイジーかつ素晴らしい瞬間が生まれるに決まっている。 1015 Folsomは、サンフランシスコ最大規模にして最も歴史のあるクラブの1つだ。ベイエリアのベテランレイバーたちが瞳を微かに輝かせながら、同クラブで90年代に開催されていたパーティーSpundaeの思い出話をすることがよくある。しかし近年では、4つのフロア全てを簡単に埋め尽くしてしまうような、ヒップホップや西海岸のベースミュージック、トラップなどのビッグネームがプレイすることが多くなった。今回プロモーター側は、単独公演でもチケットが完売するであろうBaduをラインナップに据えることによって、MoodymannやKingdomといったよりエキセントリックなアーティストを同会場にブッキングすることができたのだ。 筆者はこの日長蛇の列に並んだものの、思いのほか列が早く進んだ為、午後11時半には入場することができた。カラーライトと鏡張りの壁という、いかにもハリウッド映画のクラブのシーンに出てきそうなフロントルームをホストしたのは、大勢の観衆を前にチョップアップしたR&BのエディットをプレイしてみせたKingdom。筆者はKingdomが大好きなのだが、この日の目的は彼ではなかった為、下の階に移動してMoodymannの登場を待つことにした。 低い天井からズラリと並んだ赤いライトに照らされた地下では、Ge-ologyがファンキーなハウスをプレイし、満員のフロアを盛り上げた。日付が変わって間もなく、Moodymannがステージに登場。ジミヘンの顔がプリントされた黒いTシャツに、白のビーニー、そして黒い網で編まれたフェイスマスクを纏った彼は、パンチの効いたディスコやソウルフルなハウスをプレイし、ヴォーカルが入る度にベースを切っていた。 個人的に、BaduのDJセットに関してはあまり期待していなかった。というのも、2012年のBoiler Room LAでの彼女のプレイが少々期待はずれだったからだ。しかし実際のところ、そんな心配は無用だった。彼女はあっという間にメインルームにいた観客の心を奪い、ラップトップとコントローラーからなるSeratoのセットアップで、ファンクやソウル、ヒップホップ、ニューウェーヴをはじめとする様々な楽曲をプレイ(更に彼女はターンテーブルを使用し、何度もスクラッチしてみせた)。Nu Shoozの"I Can't Wait"と、"Trans Europe Express"のダスティーなカバーバージョンが同時にかかった。ブースの彼女は自身に満ち溢れた表情を浮かべながら(前述のBoiler Roomの時とは大違いだ)、ヒップホップスタイルで矢継ぎ早にトラックを切り替え、時には自身が声高々に歌い、ミックスが聴こえなくなってしまうほどであった。クラブという場所も彼女の手にかかると、皆が一緒に歌い歓声を上げる、ホームパーティーのように感じられた。 Photo credit: Demian Becerra / Holy Mountain Photography
RA