Darren Allen - Invisible Landscape EP

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  • ミニマルなダンスミュージックはかつて実験的だと考えられていた。現在も定期的にこの音楽の領域を押し広げているレーベルがいくつか存在するが(中でも特に明らかなのはPerlonだ)、「実験的」というタグ付けはもう当てはまらなくなっている。最近ではこの手の音楽を制作しているプロデューサーのほとんどがスッキリとしたサウンドを目指しており、アフターパーティーや長時間のセットを対象にしたスタイルになってきている。そうした場面では過度にドラマティックなサウンドがイベントの雰囲気にマイナス効果をもたらすため、とりわけ、プロデューサーたちは従来の派手で目立つアレンジから距離を取るようになっている。 Darren Allenもそうしたプロデューサーのひとりだ。先日、彼はメールで次のように語ってくれた。「あまりにも完ぺきで美し過ぎる音楽がリリースされていると思う。少しエッジがあってもいいし、そのエッジが粗削りでもいいと思う」。Allenのそんな思いを体現したのが、彼の新レーベルUnderlying Formの第一弾となる「Invisible Landscape」だ(彼のトラックを共有するFacebookグループやイベントにもUnderlying Formという名前が使われている)。EPに収録されているのは、ねじれたミニマルトラックだ。そのサウンドは最近制作されたようにも聞こえるし、10年前に制作されたようにも聞こえる。スペーシーなトラック"Self Evident"はSamuli KemppiとRicardo Villalobosを希釈したようなサウンドだ(本作の中ではこのトラックが一番いい)。一方、機能性を低めた"Telepathy"、"Saturn (Version)"、そして、"Moving Star"では、くぐもったドラムと歪んだシンセ、テープヒスといった素材が異なる組み合わせで用いられている。 しかしながら「Invisible Landscape」ではAllenが目指してきたような、けたたましく錯乱したサウンドが完全に実現されているわけではなく、もう少しドラムを強く打ち込んでほしいと思ってしまうときがある。とはいえ、本作が意欲的な12インチであることに変わりはない。面白い作品が今後に続くことを期待したい。
  • Tracklist
      A1 Self Evident A2 Telepathy B1 Saturn (Version) B2 Moving Star
RA