Byron The Aquarius - High Life

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  • Byron The Aquariusという名前は知られていないが、Flying Lotusの"Roberta Flack"で彼の鮮明なキーボード演奏を耳にしたことがあるのではないだろうか? さらに彼はEminemのプロデュース契約を結んでいたこともある。本名Byron Blaylock、現在27歳のミュージシャンは、共同プロデューサーであるKai Alcé、Kyle Hall、ロンドンのK15、そして、Theo ParrishのレーベルSound Signatureとサインを交わしたニューヨークのアーティストGE-OLOGYらと同世代だ。Blaylockは新作「High Life」にてRoy AyersからOmar-Sまでのファンを惹きつけるであろう、酩酊感のあるジャズフュージョン・ダンスミュージックに取り組んでおり、同世代のアーティストを凌駕している。 「High Life」は今年一番の卓越したハウス作品かもしれない。Blaylockは最近のインタビュー(英語サイト)で自分の流儀を次のように語っていた。「ハウスミュージックに違う雰囲気や独創性、それに、生演奏の要素を付け加えたいと感じていたんだ」。1曲目の"Aquarian Voyage"はその言葉に忠実なトラックだ。標準的なハウスビートとD~F間のキャッチーなベースラインから始まる同トラックは、Bill Evansスタイルの複雑なセブンスコードに乗ってBlaylockによるキーボードが入って来ると、その勢いを一気に増していく。そうして舞台が整えられると、主役となるアクロバティックなシンセがディスコレジェンドのPatrick Adamsを彷彿とさせながら登場する。"Aquatian Voyage"の音楽的技巧には目がくらみそうになるが、根幹の感覚は気軽なままだ。 Bサイドの"Run Sa"というタイトルがコズミックジャズの先人の名前を指しているのは明らかだ。AlcéとBlaylockはドラマーとしてしかるべくDmitri Walkerを起用し、ベースシンセに代えて爪弾くアップライトベース・サウンドを使用している。このトラックは完全に煮詰められたアイデアというよりも即興的なもので、高速でジャムセッションされたのだろうが、多くのダンスミュージックよりも音楽的技巧性が映えている。ライブ演奏されているにもかかわらずドラミングは非常にタイトだ。おそらく意欲的なDJならこのトラックをミックス可能だろう。「生の周波数。最近、音楽にはそれが欠けていると思う」とBlaylockは語っている。クオンタイズされた4小節ループが溢れかえる中、この2曲は確かに他とは一線を画している。
  • Tracklist
      A Aquarian Voyage B Run Sa (Live Drums by Dmitri Walker)
RA