Enzo Siragusa - Sanctuary EP

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  • 熱心にチェックしている人でない限り、タイトなハウスミュージックをプッシュしているヨーロッパのアーティストとFuse Londonの間にはたくさんの共通点があると思うかもしれない。ベルリンで活動するZip、Vera、Margaret Dygas、そして、Club der Visionaereに関わるDJたち、もしくは、ブカレストのRhadoo、Raresh、Petre Inspirescuといった人たちと音楽的に交わっている部分は確かにある。しかし大抵の場合、似ているのは表面的な部分であり、主な違いは音楽的な深みにある。そしてFuse Londonの最新12インチ、Enzo Siragusa「Sanctuary」でもそのことが証明されている。 Fuse Londonの作品ではひたすらダンスフロアに焦点があてられてきた。その流れは「Sanctuary」でも続いている。太いベースラインとシャッフルするドラムに加えて、複数の素材によって本作の音楽はアレンジされている。例えば、"Double Dove"での陰鬱としたパッド、"Solo"での眩いボーカルの断片、そして、"Gemini"でのゆらめくパッドなどだ。どれも良質なダンストラックだが、多くの人にとってはそれ以上のものにはならないだろう。Barac、Zip、Rareshといったミニマルアーティストは自分たちのプレイ/リリースするトラックに感情的なつながりを持たせる重要性を主張することが多い。その特性は彼らの作品における異世界のようなサウンドの中で輝いている。「Sanctuary」のパッドとシンセはこの特性を表そうとして使用されているのだろうが、上手く実現できていない。Siragusaはダンスフロアに向けてしっかりとしたトラックを作っている。彼もそれを狙いにしているのだろうが、そのトラックを聞いた人たちが深みのある衝撃を受けることはないだろう。
  • Tracklist
      A1 Double Dove B1 Solo B2 Gemini
RA