Vakula - Modulations EP

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  • 「Modulations」のサウンドは熟練テクノプロデューサーの作品のように聞こえるが、実は本作を手掛けたのは重心の低いサイケデリックなハウスの名手Vakulaだ。ウクライナのプロデューサーである彼は機械の如き音素材の中から熾烈なハイハットを使ってじっとりとしたベースライン、張り詰めた硬質なテクスチャー、そして、鋭くパーカッシブな素材に緊張感を与えている。収録曲は居心地の悪い小さな空間にねじ込まれているような印象だ。"Modulation 03"は特に密室的で、鈍い金属音や衝突音はけたたましいエンジン室を思わせ、途中で鳴らされるサイレンにより本作の荒廃感がさらに引き立っている。 "Modulation 01"はVakulaらしい奇妙さを含んでおり、アシッドなベースラインにはんだごてを当てて焦がしているようなサウンドをしている。同様のことは"Modulation 02"でも続いており、フラットなリースベースラインが刺々しく執拗なメロディとぶつかり合っている。この3曲の迷宮を脱出した後に待ち構える"Modulation 04"は比較的広々と開けている印象だ。唯一このトラックでハッキリとしたメロディが使われており、鼓動する低域に対してパーカッションがゆったりと伸びやかに感じられる。聞いていて楽しいトラックであるのは確かだが、これまでの抑圧的な環境ではなくなっており、エッジが失われている。
  • Tracklist
      A1 Modulation 01 A2 Modulation 02 B1 Modulation 03 B2 Modulation 04
RA