- Andy MacとTypesunのふたりに並んで、Jay Lもブリストルで地道に活動している集団のひとつFallingUpに所属している。彼はその地道ぶりにも関わらず、ブリストルで発生しているハウスの波に乗って誕生した傑作シングルの1枚を手掛けている。2012年のデトロイトディープハウストラック"Try Slung"だ。同トラックでは、陽射しを目いっぱいに浴びたシンプルなアレンジが完ぺきに処理されていた。思った以上に長い時間を空けてBRSTLへ戻ってきたJayだが、その作品の眩さは少し減っている。アレンジは手が込んでおり、その雰囲気はFallingUpらしく極めて控えめだ。とはいえ、本作には心地よいディープハウスを浴びられるトラック2曲が収録されている。
"Blue Age"の肝は柔らかく心を鷲掴みにしてくるスウィング感だ。それによりおもちゃのようなパーカッションに命が吹き込まれる。ローズが奏でるリラックスしたコードに対して、明確なスネアとハイハットが軌跡を残していき、抑制した雰囲気とは不釣合いのきらめきを生んでいる。一方の"Show Me"は、ピストンのように刻まれるハイハットによって躍動感が増した切れのいいトラックだ。音階を休むことなく上り下りするように奏でられるおぼろげなローズは、ブレイク部できれいに弾けて消え去っていく。全体が一瞬で元通りになってブレイクを終えると、それまでとは違うシンセが使われ、そのサウンドはほんの少し冷ややかになる。微細な処理ではあるが、とても効果的だ。
TracklistA Show Me
B Blue Age