Tross - Coast To Coast

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  • 2015年5月、グラスゴーを拠点とするInvisible, Incの初リリースによって、同レーベルが持つ広範なスタイルのダンスミュージックがしっかりと示された。そうしたスタイルをまとめ上げる要素になっているのは、緩く活き活きとした4つ打ちの鼓動だ。「Invisible Family Vol. 1」に楽曲を提供したのはSecret CircuitとTim Love Leeだった。しかし、液体的なギターファンクベースラインによるトラック"Airbed Drifter"を提供したのがメキシコ人ニューカマーThe Poncho Brothersだったという点は、同レーベルがTim Sweeneyのコネクションを利用しているのではなく、徹底したA&Rアプローチを取っていることを示唆していた。 TrossもInvisible, Incに新しく加わった、スウェーデンの4人組プログレバンドだ。彼らの感性は航空力学的なコズミッシェに根付いている。時折、CanやNeu!といったバンドの影響がほのかに表出する場面がある。例えば、"Rainbow"における鋸歯状のベース音はThe Crampsのサウンドを綺麗に整えたものだ。しかし、「Coast To Coast」では躍動するヒプノティックなサウンドに傾倒しており、それ以外の要素が入る余地はほとんど残されていない。"War Of Apples"の重くエネルギッシュなベースギターは歩兵部隊の行進のようなサウンドを生み出し、「Coast To Coast」は熱気を帯びる。しかし、同路線の"Stars & Cones"は重々しくなり過ぎているため、同様の熱気を呼び起こせていない。細やかなエフェクト使いと精巧にブラシストロークしたスネアで変化をつけた"Deluxe"の柔らかな音色は本作に陰影を加えている。言い換えるなら、それは本作に必要な異なる要素だ。
  • Tracklist
      A1 War Of Apples A2 Stars & Cones B1 Rainbow B2 Deluxe
RA