Unknown Artist - Grey Area Volume One

  • Share
  • SamuraiとAuxiliaryによるプロジェクトGrey Areaはお馴染みの目標を掲げている。コンテクストやアイデンティティを持たない(つまり、クレジット、リリースに関する情報、予想されるサウンドを一切持たない)エレクトロニックミュージックを提示することだ。これは謎めいたプロジェクトに仕立てようとしているのではなく、ドラム&ベースやダンスミュージックにある従来のジャンル区分から両レーベルが距離を置いてきたことを強調しようとするものだ。Grey Area独自の世界に彼らの音楽を存在させることがその狙いだ。 とはいえ、Grey Areaのファースト12インチに収録されたトラックは完全に非従来型である訳ではない。しかし、どれも間違いなく独自の領域に収まっている(すなわち、ASC、Sam KDC他、Samuraiのアーティストによる独特の雰囲気を持つ領域だ)。「Grey Area 001」はテクノ周辺を指向していながら静的な鼓動にとらわれることなく、このサウンドの概要を提示している。その中の2曲の強調されたスウィング感は、各小節の終結部にスネアが打ち込まれているところから明らかなように、ダブステップ近辺に位置づけられる。 この音楽にはいびつな重みがあり、機能性が主な関心事である訳ではなさそうだ。"2"では不明瞭で不気味なベースラインが、ゆっくりと轟いている。一方、"4"では激しく揺れ動くサウンドに対してドラムパートが遅れているように感じられる。そして壮大なダブテクノのように凍てつく"1"は動いているように全く感じられない。"3"に限ってはドラム&ベースのテンポをほのめかしているが、そのスピードは推進力というより不安定なぐらつきとして表出している。地平線から霧のように浮かんでは消えていく4つのトラックはどれもアンビエントテクノのアイデアを独自に解釈したサウンドを提供している。したがって、すべてが画期的である訳ではないものの、Grey Areaの1枚目は少なくともかなり異質だと言える。
  • Tracklist
      A1 1 A2 2 B1 3 B2 4
RA