Hodge - Forms Of Life

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  • Berceuse Heroiqueはアート、音楽、人道性における影の側面に強く傾倒している。その傾向はロンドンを拠点にする同レーベルを苦境に陥れてきた。特に、女性をストーキングする行為に関するツイートが物議を醸した一件では(英語サイト)、Berceuse HeroiqueがFacebookに投稿していた、同じく物騒な画像に注目が集まることになった。暴力や凄惨な視覚表現に対するそうした趣向は、同レーベルのスリーブデザインにも受け継がれている。 Berceuse Heroiqueの陰鬱とした価値観を押し返すアーティストがいる。HodgeことJacob Martinだ。大っぴらにおどけた彼の性格は、レーベルのアプローチから最も程遠いものに思える。Martinにとって同レーベルから2枚目の12インチとなる「Forms Of Life」は、そのタイトルから、カラフルなアートワーク、そして、音楽そのものに至るまで、普段のBerceuse Heroiqueとは異なり、肯定的だ。 Aサイド一面を豪快に埋め尽くす"Burned Into Memory"では、焦土作戦の任務に就いているかのようなHodgeを味わうことができる。吹き飛ばされたようなドラムサンプルによって不気味なストリングスが支えられている他、すべての素材にはスタジアム仕様のリバーブが施されている。それと比較すると、"Forms Of Life"は陽射しを閉じ込めたようなサウンドだ。Juan AtkinsやGalaxy 2 Galaxyに系統を成す、スムーズに躍動するデトロイトサウンドに仕上がっており、ふっくらとしたベースラインや、コーラスを成すパッド、そして、ビンテージシンセのストリングスにより和らげられている。EPを締めくくる"He Woke In Darkness"は、前述2曲の中間に位置する、柔らかなエッジを伴った荒々しいテクノだ。どこかフルートのように聞こえるメロディが用いられている他、リースベースラインは性急さを増すためではなく、緩やかな下降カーブを描くために使用されている。 多くの人にとって、同レーベルにまつわる物議が今後の印象を永久に決定づけるのだろうが、一方で、次の展開に向かって進もうとしている者や、彼らの路線を擁護しようとする(「不快にする権利(英語サイト)」を論じて訳が分からなくなっている)者もいる。しかし、同レーベルのビジュアルスタイルが精査されても変わっていないのは、彼らを支える音楽だ。「Forms Of Life」からも分かるように、そこではいつも通り、紛れもない音楽が提示されている。
  • Tracklist
      A Burned Into Memory B1 Forms Of Life B2 He Woke In Darkness
RA