OKZharp - Dumela 113 EP

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  • 「Dumela 113」の発端は複数の場所にある。すなわち、Chris Saundersの映像作品『Ghost Diamond』、ヨハネスブルクのアートスペースStudio113、そして、LVと南アフリカのMCであるOkmalumkoolkatが2012年に発表した傑作アルバム『Sebenza』だ(英語サイト)。これらの繋がりはすべて絡まり合っており、等しく重要なのだが、最終的には、ロンドンのGervase Gordonと南アフリカのアーティストManthe Ribaneの出会いに帰結する。Hyperdubのファンであれば、LV時代のGordonを思い浮かべるだろう。『Sebenza』は彼がHyperdubに残した最後の作品だ。今回、彼はソロプロデューサーOKZharpとして再登場する。一方、Ribaneの経歴はさらに多岐に渡る。Studio113の運営に助力し、Die Antwoordと共にダンサーとしてツアーを行い、モデル、スタイリスト、コレオグラファーとして活動し…といった具合に彼女の経歴リストには多くの項目が並ぶ。しかし、「Dumela113」では、彼女は音楽作品で初めて歌声を披露している。そして、そんな彼女の存在感が本作のサウンドには欠かせない要素となっている。 クロミウムのように滑らかなドラムサウンドから、高解像度のデジタルシンセ、そして、Ribaneの感情無くさえずるようなオートチューンまで、「Dumela113」の至る所にきらびやかな未来志向がある。"Dear Ribane"や"Sizzr"では、英語やツワナ語ひとつひとつの向こう側に、静かな微笑みを聞くことができる。リズムはどれも冷ややかで計算されているのかもしれないが、2倍速で駆け出したがっているように感じられる。 "Sizzr"はノンビートで大量の重低音からスタートし、機械のようにRibaneが甘く囁く空間に、跳ねる巨大なリズムが投下されると、トラックは静かに上昇する。跳ね感があり、叩きつけるようなパーカッションを伴った"Fede"はそれほどクールな響きにすることに関心が向けられておらず、最後の"Glonet"は華麗さに欠けることのないインストゥルメンタルトラックとなっている。Gordonはリズミカルなエフェクトから様々なスタッカートのメロディに翻しながら、低域が炸裂するビート上に少数のシンセを展開している。そのサウンドは適切なセットでプレイすれば上手く機能するほど壮大で魅力的だ。それは同時に、OKZharpはボーカル無しでも作品作りが行えることを示している。とはいえ、Ribaneの不在は決して無視できない。そしてそれは彼らふたりがどれだけまとまりあっているのかを明確にしているのである。
  • Tracklist
      A1 Dear Ribane feat. Manthe A2 Sizzr feat. Manthe B1 Fede feat. Manthe B2 Glonet
RA