Randomer - Kids Play

  • Share
  • この数年間、RandomerことRohan Walderは密やかにではあるが、英国で最高に面白いプロデューサーのひとりになった。NumbersHemlock(共に英語サイト)といったレーベルから初期にリリースしたベースミュージックの変異形や、昨年、初めてL.I.E.S.からリリースした傑作「Residents」(同レーベルにとって初となる英国人アーティスト作品だ)の収録曲"Stupid Things I Do"といった見逃されている強力なテクノなど、彼のサウンドは着実に進化/加速し、リリースごとに自信をさらに感じさせ、より奇抜になっていった。今回、おそらくこれまでで最も独特なレコードとなるかもしれない「Kids Play」と共に、彼はL.I.E.S.に帰還する。 トラック5曲が収録された本EPでは、グルーヴと音色に焦点を当てつつ、日差しを目いっぱい浴びたポストトライバルビートによるアレンジが展開されている。そのサウンドは桁違いに明瞭で、視覚への訴求力が強く、ジャングルで太鼓の円陣が組まれている光景を思い浮かべてしまう。ビートは高密度で万華鏡のようなアレンジメントにより、芸術的に組まれている。各トラックは同じ素材を活用しているが、作品を通じて素晴らしい幅を持つエネルギーが流れている。"Dem Thing"や"Brutus"はけたたましい強力トラックであり、"Kids Play"と"Juju"は繊細ながらも、引き続き意識を搔き乱す要素を少し含むトラックだ。筆者のイチオシは"Bell Jam"。心地よく方向感覚を搔き乱すオフビートなグルーヴによる瑞々しくヒプノティックなトラックだ。 「Kids Play」はソングライティングというより、アレンジメントによって成り立っている1枚だ。"Bring"、"Huh"、"Stupid Things I Do"といったRandomerのトラックが持つ、聞いた人を振り向かせるような性質に欠けている。しかし、それはある意味、L.I.E.S.に適しているように感じられ、Walderの探求的な一面を披露しており、むしろ彼の才能をより豊かな印象にしている。
  • Tracklist
      A1 Kids Play A2 Juju B1 Bell Jam B2 Brutus B3 Dem Thing
RA