Rush Hour in Paris

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  • オープンして4年が経つConcreteは、現在パリで最も先進的なクラブとしてその名を馳せている。日曜朝のアフターパーティーや、ベルリンスタイルのハウス/テクノのパーティーをホストするヴェニューとしてオープンしたが、最近はより多様なサウンドや、幅広い客層を受け入れるようになってきている。これは、彼らが自分たちの色を見失ったというわけでは決してない。事実、11月の第2日曜日に開催されたこのパーティーは、Concreteチームが大きなイベントをキュレートするのにいかに長けているのかをハッキリと思い出させてくれた。 Rush Hour主催のパーティーはどこか、クラブ体験というよりもフェスティバルで過ごした1日のように感じられた。午後の早い時間、Soichi Teradaは1時間のライブセットでメインルームを沸かせた。一方で、その他の全DJには数時間のセットタイムが与えられていた。レーベル主宰のAntalは、この日最初の素晴らしいセットを披露。太陽の光が照りつける屋外のWoodfloorで、Fela KutiのアフロビートからLata Ramasarによる魅惑的な“The Greatest Name that Lives”、そしてオブスキュアでアップビートなアシッドトラックまで、幅広い選曲を展開した。この時点では客足がまだ疎らだったものの、入場しているクラウドはほぼ全員がダンスフロアにいた。 次に登場したのは、最近Rush Hourに加入したばかりのInterstellar FunkとRobert Bergman。実に見事で、大胆不敵なセットを披露した彼らは、太陽がセーヌ川に沈むその時、The Rah Bandによるコズミックの傑作トラック"Messages To The Stars"をドロップした。Huneeによる完ぺきなディスコミックスもまた、この日のハイライトであり、日曜夜の疲れが消えていくようにさえ感じた。最近の彼のセットの多くと同様、この日も彼ならではの高揚感のあるスタイルの中で、ディスコアンセムの連発となった。 Rush Hourクルーのメインの強みは、音楽に対する執拗なまでの好奇心だ。 レーベルとして、そしてショップとして、こと風変わりなディスコやレアなエスニック・グルーヴ、斬新なハウスに関しては、Rush Hourはヨーロッパで最も影響力のある集団と言えるだろう。この1日の中で、San ProperがThe Stranglerのプロトパンク・クラシック"No More Heroes"をかけたり、Antalが午後の日差しのなかでメロウなレゲエをプレイしたりと、手がつけられなかったダンスミュージックのサブジャンルはなかったかもしれない。彼ら以上にデイタイム・パーティーに適したツアー集団は、筆者には思いつかない。
RA