Rote - EP1

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  • Daniel AveryとVolte-Faceの親和性、さらに言えば、彼らの完全なる友情が明らかになったのは今年の1月のこと。Volte-Faceが2013年の『Drone Logic』(英語サイト)に収録されていた"Platform Zero"をリミックスした時だ。Volte-Faceにとって初の公式リリースとなる作品がRødhådやSilent Servantといったアーティストと共通点を持っていたことを考えると、ふたりには何か特別な繋がりが最初からあったと言えるのかもしれない。ロンドンを拠点にする彼らがRoteとして手を組んだ「EP1」は確かに、そうした憶測を裏付けている。彼らが素晴らしいのは、今回のコラボレーションデビューにあたって、Averyのクロスオーバーしたアシッドテクノや、Casper Clark(Volte-Face)のモノクロな「Charlatan」(英語サイト)を模倣しようとしていないように思えるところだ。代わりに「EP1」に収録された彼らのオリジナルトラック2曲では、ウェアハウス仕様の鋭敏なドラムサウンドと、立ち込める酩酊した雰囲気、という彼らの共通項が掘り下げられている。 両プロデューサーのファンにとって驚きかもしれないのは、"Rote1"と"Rote2"に現れる多様な色彩だ。後者は特に豊潤で、極上のシンセパッドが色褪せていき、恍惚のカタルシスとあからさまに戯れているかのように、スモーキーな光景に姿を変える。そこから良好な結果が生まれており、中でも顕著なのは、まるでピークを迎えた頃のOrbitalがBerghain的なテクノに挑んでいるかのようなところだ。パーカッシブな攪拌機が霧の中を転がり進むに従い(本作でAveryの存在が最も感じられる要素だ)、8分間が過ぎる頃まで、こだまするオルガンブリップと機関銃のようなハイハットが巻き込まれていく。派手な展開へ移行する際に"Rote 1"をプレイすれば、トラックの勢いが確実に成果を挙げるだろう。 DJ NobuとSvrecaがそれぞれリミックスした"Rote 1"と"Rote 2"では、どちらもテンポが速まり、最大限に密室度が高められている。日本人アーティストであるDJ Nobuのアレンジでは、延々と続くループに乗せて、シンセブリップとアシッドライン、そして、執拗なドラムマシンによる、強くタイトに締め上げたシーケンスを組んでいる。一方でSvrecaは"Rote 2"の美しいメロディを取り除き、不気味で残忍な空気を実現している。どちらのリミックスも原曲に及ばないとはいえ、Roteの鋭敏なテクノをさらに過激にしたバージョンを提供している。
  • Tracklist
      A1 Rote 1 A2 Rote 1 (DJ Nobu Remix) B1 Rote 2 B2 Rote 2 (Svreca Remix)
RA