BD1982 - Salience EP

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  • 先日、RAのRyan Keelingによって判明したように、Diskotopiaの設立者であるMatt LyneとBrian Durrはひとつのスタイルに束縛されない。2013年に発表された「Casings」での角張ったグライム、そして、昨年に発表されたジャンル特定不可能な「Operatorr」での新たな要素に続くBD1982名義によるDurrの最新EPもその例外ではない。「Salience」におけるいびつなグルーヴの最も素晴らしい先例は、Workshopの奇抜なマイクロハウスかもしれないが、「Salience」でハイライトとなるのはグライム的な野暮ったさが残っている点だ。 "Spatial"を例に挙げるならば、ちらつきながら魅力的に視界を出入りする装飾リズムを重ね合わせることでトラックの勢いが生まれている。しかし、トラックの重量感を担うのは急降下爆撃するようなベースと凍てつくシンセの突風であり、どちらもRabitのトラックで使われてもおかしくないサウンドだ。"Physical"でも同様に、半音シンセによる旋律が図太いキックの下に固定されている。かつてなくディテールにこだわったDurrは時折、ベルのような反響音を弾けさせ、色彩を生んでいる。"Obeah Mirrors"では、躍動するテックハウスの下にVisionistスタイルでピッチを再加工した声が埋め込まれており、比較的味気が無く聞こえる。DiskotopiaのレーベルメイトであるMyakkahは"Rotary Drive"をガーゼのごとく軽量にエディットしている。細心の注意を払って重ね合わせた粘つくリズムは、とても居心地がよさそうだ。
  • Tracklist
      01. S​patial 02. P​hysical 03. O​beah Mirrors 04. R​otary Drive (Myakkah Edit)
RA