Dubkasm feat. YT & Rudey Lee - Higher Meds / Coming In Ruff

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  • ブリストルで生まれ育ち、2003年にSufferah’s Choice Recordingsを始動したふたりの幼馴染DJ StrydaとDigistepによるプロジェクトDubkasmは、現在のルーツダブシーンにおける革新的存在だ。イギリスでデジタルダブが興隆を極めていた1994年に結成されたDubkasmは同レーベルを中心に多様なアーティストと数々のコラボレーションを重ねてきた。DJ Strydaが1996年から担当しているラジオ番組から名前を取ったSufferah’s Choice Recordingsは、昨年末から名前を新たにDubkasm Recordsに変更したが、引き続き、オリジナルルーツに忠実なローファイでざらついたテクスチャーを、デジタルダブ後の感覚を通じて刷新している。彼らの最新作でフィーチャーされているのは、同じくブリストルを拠点とし、Smith & MightyやDJ PinchらともコラボレーションしてきたRudey Leeと、イギリスダンスホールシーンきっての”シング”ジェーとしてお馴染みのYTだ。 Dubkasmの制作に根付いているのは「再解釈」という考え方であり、敬意を持って原曲に向かい合い、各要素にまで解体しながらベース、ドラム、エフェクトを駆使して楽曲に新たな息吹を吹き込むことだ。それはうねるベースラインが強烈な「One Man One Vote」のリディムをリメイクした本作にも当てはまる。Dubkasm作品では、ソフトウェア上ではなくAllen & Heathのコンソールを使ってダブミックスが行われているが(Pev & Kowtonの”Junked”が制作された時にも彼らのコンソールが用いられた)、特に”Dub Medi”と、”Coming In Ruff”の後半部である”Discomix”では、その点が如実に感じられる。力強いTYとメロウなRudey Leeの声を削ぎ落し、真っ白なキャンバスとなった空間に、各ドラム素材をエコーで飛ばしながらフィルターやフランジャーで加工し、表現力豊かで饒舌なダブワイズを展開している。Digistepがコンソールのフェーダーを上げ下げしている光景が目に浮かぶほど、躍動感溢れるミックスが全トラックに共通して施されており、フロアで轟く本作のベースラインを想像すると思わずニヤリとしてしまう。
  • Tracklist
      A1 Higher Meds A2 Dub Medi B Coming In Ruff (Discomix)
RA