Berg - Berg 03

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  • ネット上では某アーティストの変名とだけ、しかしそれ以上の情報は全く謎に包まれているBERG。Facebookで公開されているぼやけた写真からは男性二人組みのユニットである事、そしてベルリンを拠点に活動している事は分かっている。2013年にBERGとだけラベルにハンドスタンプされた簡素なアナログのリリースが初の作品であり、初期デトロイト・テクノのスペーシーな感覚とドイツの硬質なミニマルとダブな質感が融け合った音楽性は、DJツールとして絞り込まれたテクノだった。 本作はBERGとして3作目となる作品だが、過去の作品に比べるとより無駄な展開を省いてDJツール的な方向へと収束しながら、幾分か骨太な粗さを身に付けアナログ感を打ち出したベルリン・テクノを披露している。9分にも及ぶ"3000-3099"は厚みのあるキックが機械的に淡々と同じグルーヴを刻み、ひっそりと奥の方で伸びているストリングスによって微かな変化を生み出しているが、温度感は排除され非常に冷えきった質感が現在のベルリン・テクノとの親和性の良さを思わせる。その無駄の無い作風とアナログ感からは、ドイツのミニマル・テクノを発展させたBasic ChannelやMaurizioの系譜に連なるものも感じられるだろう。同様にゴリッとした硬いキックが正確な4つ打ちを刻む"Montag"もやはり無機質で平坦な流れではあるが、線の細いシンセが夢遊病のようにふらつく事で軽い酩酊感を引き起こす。何よりもディープなのは"Melodien"であり、90年代にMoritz von Oswaldと手を組みベルリンで制作を行っていたModel 500を思い起こさせる作風は、ロマンティックかつスペーシーで最小限の音で最大のイメージ力を喚起させる。単純なフレーズとリズム、しかしクールな叙情性も込められたその音からは、テクノがエモーショナルなものでもある事を再認識させるには十分過ぎるだろう。ベルリンからデトロイトへ、そんな流れも垣間見せる二人組のBERGとは一体誰なのだろうか、そのミステリアスな状態もあって興味を掻き立てられる。
  • Tracklist
      A1 3000 - 3099 B1 Montag B2 Melodien
RA