Kool D - Casablanca Sessions

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  • Seth TroxlerとThe Martinez Brothersにより、昨年の中頃に設立されたTuskegee Musicは、「文化遺産のレーベル」と言われている。彼らはアフリカ系アメリカ人とヒスパニック系のプロデューサーによる音楽のみをリリースするためにこのレーベルを発足した。同レーベルの5枚目となるリリースを手掛けたのは、どうやらベルリンを拠点とし、新たにKool Dという名義で制作を行っている著名なプロデューサーのようだ。 "Casablanca Sessions"の微妙な差異による巧妙さと落ち着いていて自信に満ちた雰囲気からは、長きに渡ってプロダクションにおける個性を獲得してきた人の手によるトラックであることが分かる。故障したエンジンのように停止して孤立する低域のフレーズより、トラックは常につんのめっている。パーカッションのようなアフリカンボーカルと着実に撃ち込まれるハットによってトラックには前進する勢いが加えられ、様々な要素と一緒に混ざり合っていく。中盤に挿入される重心低めのロカビリー的なベースギターは、予想外の嬉しい展開だ。そのベースギターは現れた時とほぼ同じように突如として姿をくらまし、その後、トラックは軋みを挙げながら終了する。Bサイドにはダブミックスが収録されているだけで、現時点でKool Dはそれほど多くのことを披露している訳ではない。しかし、「Casablanca Sessions」を聞いていると、今度、一体どんな音楽が届けられるのかとワクワクさせられる。
  • Tracklist
      A1 Casablanca Sessions (Vocal Mix) B1 Casablanca sessions (Dub Mix)
RA