Atom TM - Riding The Void

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  • Uwe Schmidt(Atom TM)はソロとコラボレーションのいずれにおいても数々の作品をリリースしてきた。そして言うまでもなく、洗練されたオーディオビジュアル・パフォーマンスも構築している。彼のように多作なアーティストにより2年前に制作されたシングルが、なぜ今頃になってリミックス盤になるのかは想像に任せるしかないが、そのタイミングは決して遅かったとは言えないだろう。"Riding The Void"は、『HD』を通じて投じられていたAtom TMの膨大なインスピレーション(エレクトロ、ハイパーリアル・サウンドデザイン、ポストモダンなクラフトワークイズム)を内包しており、2年経った今でも、その形容しがたい不思議なブレンド感は時代性に沿っており、説得力を保ち続けている。そして、Raster-Notonから新たに発表されるリミックスEPの唯一の欠点は、おそらく、そのリミックスだろう。本作には迫力に欠けるトラックと心を鷲掴みにするトラックが入り混じっているのだ。 Jordan Rothleinが『HD』のレビューを執筆した時、彼はSchmidtのシングルについて「ダンスフロアでも機能すると同時に、ダンスフロア的な場所での知性の不在さえも示唆している」と語っていた。そのため、時折「Riding The Void」がそうした不在性の典型となっていることはなんとも皮肉な話だ。Scubaは原曲のバーチャルポップ性を単なるネタとして扱い、もっと平凡なテクノに変化させている。Schmidt自身による"Nought Remix"ですら、軟弱なマシンファンクに落ち着いている。原曲を上手く活用してはいるが、革新的とは言えない。最も素晴らしいのは"Tool"と、Hanno LeichtmannのGesetz Der Oktaven名義によるデジタル限定のボーナストラックだ。前者はディテールを十分に含む肉付きのいいグルーヴに焦点を絞り、絶え間ないループでも飽きないようになっている。後者が行っているのはつまるところ、ヘビーでざらついた音色を使った"Riding The Void"の再構築だ。Leichtmannによる強化バージョンが見事に機能している点は、制作のクオリティの高さとコンセプトの持続性の両面において、元素材の素晴らしさを代弁している。
  • Tracklist
      A1 Riding The Void (Album Version) A2 Riding The Void (Scuba's Pulse Mix) B1 Riding The Void (Nought Remix) B2 Riding The Void (Tool) Digital Only: Riding The Void (Gesetz Der Oktaven's Consumed Remix)
RA