O$VMV$M - IDLE026

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  • O$VMV$Mはブリストルのコレクティブ、Young Echoから新たに派生したプロジェクトだ。そのメンバーはKahnのコラボレーターNeekとして知られるSam Barrettと、酩酊系ヒップホップデュオであるJabuのメンバーAmos Childsである。ふたりは既に同名義のもと、ブリストルのレーベルNo Cornerからカセットテープをリリースしている。今回、Idle Handsに提供されたEPでも同じ方向性に進んでおり、劣化させたサンプルループから構築され、鬱蒼としたムードが漂う作品8曲が収録されている。 本作のサウンドは前例のあるものが多く、そうしたサウンドをBarrettとChildsは肯定的に用いている。"Obeah"や"Sea Mills Cash Dub"での虚ろなエコーには、ダブの存在が表れており、奇妙なキャッチーさを持つ"Goodbye"はThe Caretakerの不穏なサンプリング作品を彷彿とさせ、"Belly"では、かすんだレイヴコードがキルト状に編み込まれている。いくつかのトラックタイトルは悲しげなグライムによる昨今のブームを引き合いに出しているが、トラックそのものはMr. Mitchのようなアーティストからサンプリングしたテープヒスを重ねているくらいだ。"Sad Grime"におけるボーカルとシンセによるフックは、涙を誘うアンセムに成り得たかもしれないが、そのサウンドは使い古されたカセットを使ってバウンスミックスしたかのように、くぐもっており隔たりがある。 こうしたスタイル面における幅の広さは印象的だが、その代償としてしっかりとした焦点が失われてしまっている。Childsがメンバーとして名を連ねるもうひとつのYoung Echoのグループ、Killing Soundも同様にループを基調としたアプローチを取っているが、その作品は非常に興味深いものだ。比較して見た時、今回のBarrettとChildsは魅力的なループをぼんやりと漂わせているだけで満足しているように見える。
  • Tracklist
      01. Beyond 02. Sad Grime 03. Belly 04. Goodbye 05. Flora 06. Sea Mills Cash Dub 07. Surprise Sisters Devil Mix 08. Obeah
RA