Rrose - For Aquantice

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  • カリフォルニア生まれのRroseが生み出すテクノは相反する要素が絡まり合ってできている。最もヘビーで不快なサウンドでありながら、その要素は軽やかで鋭敏だ。その力は動的な特性からというよりも密度から生まれている。ところが同時に、彼の音楽には広々とした一面もある。その分かりやすい例が"Vellum"だ。最初は鍛冶屋の作業場のように響いている音が、唸るパッドによって、エコーとリバーブによる迷宮へと拡張していく。 「For Aquantice」の多くの場面で、Rroseは名状しがたい圧力をかけるために超軽量金属と同種の素材を使っている。先日、Functionのミックス『Berghain 07』でフィーチャーされた"Signs"は、眩暈を起こすような旋回するリズムと、トラックが展開していくにつれタイトに締めあげられるブリーピーなメロディから成り立っている。締めあげられたメロディは最終的には緩められ、トラックは柔らかな下降を描いていく。"Levitate"ではRroseの多義性が削ぎ落とされている。颯爽と吹き抜けるアンビエントとソナー音によるイントロを経て、ハンドパーカッションと緩いハイハットがゆったりとしたビートに絡まり合っていく。ウォームアップトラックとしてプレイしたとしても、心拍数が早まることになるだろう。
  • Tracklist
      A1 Levitate A2 Vellum B1 Signs
RA