Voigtmann - Minor Compositions Of Incredibly Imaginary Futures

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  • Toi.Toi.Musikの2枚目がリリースされるまで、1年という月日はとても長い時間に思える(Mr Gによる1枚目がリリースされたのは2014年の4月だ)。しかし、ロンドンを拠点とするこのレーベル兼パーティーの仕掛け人であるIsis SalvaterraとClaus Voigtmannが、現在の位置に至るまで急いで物事を進めたことはなかった。「Minor Compositions Of Incredibly Imaginary Futures」は、ドイツ人であるVoigtmannによるこれまでで最も成熟したベストワークであり、彼が最後にリリースしてから12か月後に届けられた4曲入りEPである。 Yuméからリリースされた先のレコードが好きな人であれば、今回の蛇行するクラブ仕様の音楽観には即座に惹き込まれるだろう。しかし、そこにはVoightmannの新たな一面もある。ダンスフロアトラックである"Possiblilism"と"Groovism"の2曲はどちらも、我々が知っている彼らしくタイトに巻きあげられた重低域テクノだ。前者の方が活き活きとしていて屈強なトラックとなっており、スナッピーなシンセと濃い煙のようなパッドが織り成すダークな空間の中に蛇のように曲がりくねるベースラインを躍動させている。不気味なアプローチを取った後者は、激しいハイハットと肉付きのいいベースライン上に不安げなメロディをぶら下げている。 しかし、本作で最も面白いのは、Voigtmannが4つ打ちを離れている時だ。"Fruitification"では、まるでリスナーをからかっているかのように、ベースヒットや低いトーンのボイスサンプル、そしてMobyのような装飾音によってムーディーな空間が構築されている。キックが欲しくてたまらなくなってくるが、その音が鳴らされることはない。スマートなDJなら、このトラックを見事にプレイすることができるだろう。そして"Repetitionism"は、ジャズの要素をうっすらと感じさせるダビーなダウンテンポと表現したくなるトラックだ。このトラックが本作のベストであるということは、Voigtmannのオルタナティブな音楽制作能力の高さと継続的に自身のサウンドの限界に挑もうとする彼の姿の表れだと言える。
  • Tracklist
      A1 Possibilism A2 Fruitification B1 Groovism B2 Repetitionism
RA